「多幸感」とは?SNSで話題の理由と“幸せそうな人”が魅力的に見える心理を解説


こんにちは!
今回は、SNSや美容・マーケティングの分野でよく耳にするようになった流行語、「多幸感(たこうかん)」について掘り下げてみたいと思います。
最近では「多幸感メイク」や「多幸感あふれるコンテンツ」といった使われ方も多く、何となく“ポジティブで良さげな感じ”がする言葉ですが、そもそもどういう意味なのか?
なぜここまで流行っているのか?人はなぜそれに惹かれるのか?を、マーケティング視点も交えて解説していきます!
目次
多幸感の語源・ルーツは?


「多幸感」は元々、心理学や医学で使われていた専門用語でした。
英語の euphoria(ユーフォリア) の訳語として用いられ、薬物使用時や脳内化学物質によって引き起こされる「異常なほどの幸福感」を指していた言葉です。
つまり本来の「多幸感」は、“理性を超えるほどの多幸状態”というやや非日常的な感覚を表していたのです。
それが近年、SNSや美容・エンタメ業界を中心に「幸せそうに見える状態」や「見ているだけで満たされるような雰囲気」を表すポジティブワードとして再解釈され、広く使われるようになりました。
多幸感がマーケティングワードに変化していく理由


なぜ医学的な言葉が、マーケティングやライフスタイルのキーワードに変貌を遂げたのでしょうか?
その理由のひとつが、「視覚的・感情的な幸福の“演出”が求められる時代」になったことです。
InstagramやYouTubeなど、視覚的に“幸せそう”を表現するプラットフォームが主流になるなかで、「多幸感」は非常に伝わりやすく、共感されやすいワードだったのです。
たとえば、
・コスメ業界では「多幸感チーク」「多幸感リップ」など、商品名にも組み込まれるように
・音楽や映画レビューでも「ラストに多幸感が溢れる」といった表現が常用化
・旅行やグルメの投稿にも「この景色、多幸感しかない」などの形で使われる
こうした流れから、「多幸感=幸福感の演出装置」としてマーケティングに組み込まれていったのです。
なぜ人は「幸せそうに見える人」に惹かれるのか?


人は本能的に、「余裕のある人」「幸せそうな人」に安心感を覚えます。
進化心理学的に言えば、「安心・安全な環境に身を置いている人=生存能力が高い」と判断するからです。
つまり、“多幸感に満ちた人”は、他人に対して「この人と一緒にいると良い影響がありそう」と感じさせる存在になりやすいのです。
また、“幸せそうに見える人”には、自分の内面と照らし合わせて「こうなりたい」という憧れや理想投影も働きます。
この心理は、インフルエンサーやモデルの人気を支えるベースにもなっています。
多幸感は「肯定の演出」であり「承認欲求の出口」


しかし、ここでひとつ考えてみたいことがあります。
「多幸感」という言葉が流行る背景には、「本当に幸せであること」よりも、「幸せそうに“見せる”こと」が重要視されている側面もあるのではないでしょうか。
SNS時代、私たちは“誰かに認められること”を通して自分の存在を確かめる傾向が強くなっています。
「多幸感に包まれている私」を投稿することで、いいねやコメントを通して承認されたい。
つまり、「多幸感」は自己肯定の演出手段であり、承認欲求の出口になっているとも言えます。
この構造に気づいた上で、私たちは「本当の幸福とは何か?」という問いと向き合う必要があるのかもしれません。
まとめ|多幸感をどう捉えるかは自分次第
「多幸感」という言葉は、時代の空気を象徴するワードです。
ただし、それは見せかけの幸せを追い求めるものにもなりうるし、逆に自分自身の心と向き合うヒントにもなります。
・自分が何に“多幸感”を感じるのか?
・他人の“多幸感”に惑わされていないか?
そんな視点を持ちながら、心からの「多幸感」を大切にしたいですね。