アンカリングされた価格をどう変える?インフレ時代の戦略的価格設定
目次
時代はデフレからインフレ時代へ “ある世界”
かつてのデフレ経済では、商品の価格が「下がることが当たり前」という消費者の心理が定着していました。
その結果、消費者は「底値感覚」を基準に商品を購入する習慣が染みついていました。
しかし、2020年代に入り、世界的なインフレの流れが加速しています。
米国の金融政策の変化に伴い、考えがあり、資金調達コストが上昇しています。徐々にインフレにシフトしていっています。
日銀の金融政策でも、0金利政策をやめ、国債の買いオペレーションの額も縮小していっています。
現在の公定歩合は0.25%ですが、今後の2年間程度をかけて1%をめざすと言われています。
この流れでは春闘のベースアップ次第ですが、2025年3月に0.5%へ、2025年内に0.75%へ引き上げは予定調和といったところでしょうか。
これまでの「安い時に買えば得をする」という常識は通用しません、一応「今が一番安い可能性がある」という認識が求められます。
企業にとっては戦略価格を考えるチャンスであり、消費の「アンカリング効果(基準価格の固定観念)」をうまく変える必要が出てきました
モノの価格が上がり続ける時代は、20~45歳の現役世代は経験がない
バブル崩壊後に生まれた世代、特に20〜45歳の現役世代は「モノの価格が下がることはあっても上がることはない」という認識が強い、これがアンカリング効果(購買価格の基準値)があると言えます
しかし、2020年代のインフレ情勢では、食品・エネルギー・日用品などの価格が上昇し、これまでの「価格の下落を待つ」という購入行動は通用しなくなっています。
インフレ時代のポイントは、「価格が変動することが当たり前」という新しい常識を植え付けることです。
底値と言われた価格はもう、見ることができない
「底値感覚」に囚われた消費者心理を変動させるための有効なメッセージが「今が底値」というキーワードです。
これまでは「もう少し待ってればもっと安くなる」と考えるのが一般的で結局、インフレ局面では、未来の価格が現在よりも下がることはありえなくなってきているのです。
企業は、価格の変動を積極的に消費者に示す戦略を取らなければ、自社の利益(未来コスト)が捻出できなくなっています。
いずれにせよ、価格改定を行うための、価値向上や固定費削減などは早急にけんとうすべきでしょう。
ダイナミックプライシングやサブスクリプション・シェアリングサービスなど新たな価格決定戦略も多くなっています。
また決済方法も現金やクレカ・○○ペイだけでなく後払いや、まとめて払いなど多様性が生まれています。
お金の価値が下がる、物の価値が上がる。貯蓄から投資時代の販売は投資性向の高い消費者へ絞り込め
インフレ時代の本質は、「お金の価値が下がる、モノの価値が上がる」という現象です。
過去のデフレ時代では、現金の価値は相対的向上していきましたが、インフレ時代はその逆転現象になります。
自社の商品・サービスの顧客のターゲッティングをする際には所得や可処分所得などが重要なセグメント基準になりましたが、インフレ時代の貯蓄から投資時代では、キャッシュフローだけでなく、キャッシュストックの視点でのターゲッティングが重要となります。
投資で得たインカムゲインを再投資する人や、生活費に回す人、様々ですが、基本的に言えることは収入の口が増えれば触れるほど、精神的に余裕が生まれます。
また金利が上がれば、投資活で得る収入増加が来たいでき、インフレ時代でも対応できます。
その世帯で消費行動は、インフレ・デフレ関係なく、一定維持されるか、または消費性向が向上する可能性すらあるのです。
つまり、従来型のターゲッティングでは現在のインフレ時代に対応できません。
貯蓄→投資時代のその先は、消費時代(いかの人生を充実させるのか、体験価値の購買行動のための消費)がやってきます。
戦略的価格決定は、そのターゲットの人生の充実度に寄与するための持続可能な適正利益を設定行うべきで、コストプラスで決定してはいけません。
ファンのライフスタイルや資産形成、所得の変化も見極め、自社独自のポジションを仮説・探していくことが重要なのです。