推し活経済圏がもたらす新たな消費トレンド – 2024年総括
2024年、私たちの身近な消費行動において「推し活」が重要なキーワードとして注目しています。
「推し活」とは、自分を応援するアイドル、アーティスト、キャラクター、あるいはスポーツ選手やコンテンツなど、ここ数年、この推し活動は趣味の領域を超え、一つの経済圏を形成するまでに成長してきました。
本記事では、推し活経済圏の広がりについて、具体的な消費行動の特徴や社会的な影響を分析し、その将来について考察します。
目次
自分自身の消費は抑えても推しのためなら消費する行動
それは、「自分自身のための消費を抑制し、推しのためには後悔優先でお金を使う」という特徴です。
生活費や娯楽費を切り詰めながらも、推しのライブチケットやグッズには急いで投じる人が増えています。
このような行動には、推しを応援することで得られる「精神的な満足感」や「連帯感」が関係しています。
特に、コロナ禍で外出の機会が制限された時期には、推しとその結果、「自分のためではなく推しのため」という消費が、一部の人々の生活の軸として定着したのです。
推し活には幸福度を高める効果、3人に1人が推しを持つ時代
推し活には心理的な側面でも大きな意味があります。
野村総研の調査では、約3人に1人が少数「推し」を持っているという結果が報告されています。
目標や楽しみが生まれ、幸福度が向上するとされています。
一般的に推し活は若年層だけだと考えられがちですが、50代で25%60代で18%が推しがいると言われています。
心理学的には、推し活は「ポジティブな感情の強化」と「社会的つながりの構築」に当てはめます。
例えば、推しの作品友人や仲間と交流することで、孤独感が軽減され、さらに、推しを応援すること自体が、日常のモチベーションアップに繋がるケースも少ないです。
推し活は、ただの消費行動ではなく、個人の幸福度を高める重要な要素として捉えられるべきでしょう。
聖地巡礼や推しの応援広告など、経済活動を押し上げる効果
推し活のもう一つの重要な側面は、経済活動への影響です。
推しに関連する商品やサービスはもちろん、推し活が直接・間接的に地域経済を活性化させる事例も増えています
例として、アニメや映画の舞台となった場所への「聖地巡礼」は、観光産業に大きく貢献しています。
ファンが訪れることで宿泊施設や飲食店が潤い、地域の活性化に定着することがまた、SNSや駅などに掲示される「推しの応援広告」も、推し活の象徴的な存在です。
これらの広告は多くの場合、ファン同士が資金を出し合って制作されるそのため、推し活が経済活動に真っ向から取り組んでいることが明らかです。
さらに、ライブやイベント会場での消費も重要です。
グッズ販売や飲食サービスが盛況を極めるほか、遠方から来るファンによる交通費や宿泊費も推し活経済圏を支えています。
「推し活」はただ個人的な活動に継続せず、広範な経済効果を継続しています。
風俗業の昔からの推し文化|推し活の起源を探る
推し活の起源をたどると、日本文化に深く根付いた『推し』の概念に行き着きます。
実は、推し活につながる文化が古くから日本に存在していました。
例えば、『たにまち』という言葉をご存じでしょうか?
芸能の贔屓筋
能や歌舞伎など伝統芸能や日本画や浮世絵では、財力を持つ支援者歌舞伎が役者や興行を報酬的に支えることが古くから行われていました。
遊郭などの風俗業もファンから支えられることによってなりたつ推し文化の一部を形成していました。
これら文化では、応援する対象に対して金銭的な支援を惜しまない姿勢が特徴的でした。
これらは、現在の推進活動の根本的な構造と重なります。
生活に潤いやストレスの解消、人生の喜びは自己消費ではなく、利他消費(推し活)によってもたらされるのは時代に関わらず同じであると言えるでしょう。