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2025.01.14

税収73兆円へ!財政再建に向けた日本経済の変化を読む

2024年度、税収73兆円へ!3兆円以上の増加

皆さん、最近ニュースなどで「税収」の話題を耳にする機会が増えていませんか?

日本の財政を支える主要な収入源である税収は、2024年度は73兆円に達する見込みです。
これは前年度から3兆円以上増加し、過去最高を更新する予定となっています。

税収がこれほど伸びている背景には、さまざまな要因が絡んでいます。
その理由について、詳しく見ていきましょう。

3年間で税収が10兆円以上増加!理由は?

税収は近年、驚くべきペースで増加しています。

2022年度:60兆円

2023年度:69兆円

2024年度:73兆円(見込み)

わずか3年間で10兆円以上の増加となり、伸び率は5%以上という記録的な数字です。
これだけを見ると「景気が良くなっているのでは?」と感じる方もいるでしょう。

しかし、税収が伸びている理由には、景気回復以外の要因も多く含まれているようです。

税収が伸びる理由は「3つの柱」にあり

日本の税収を支える主な柱は、法人税・消費税・所得税の3つです。
それぞれの特徴を見てみましょう。

法人税:企業業績が好調な場合や、海外事業の利益が拡大すると税収が増加します。

消費税:国内の消費が活発になったり、税率引き上げが行われると、税収に直接的な影響を与えます。

所得税:雇用者数や賃金の増加、副業ブームやフリーランスの増加も税収増加の一因とされています。

これらの税収がすべて堅調に推移していることが、全体の税収拡大に寄与しているのです。

ただし、税収が伸びている背景には、物価上昇や為替変動といった要因も含まれており、一概に「景気が良いから」とは言えない複雑な側面もあります。

定額減税でも税収アップ!「103万円の壁」とは?

2024年には一時的な定額減税が予定されていますが、それにも関わらず税収は過去最高を更新する見込みです。
減税が実施されるのに、なぜ税収が伸びるのでしょうか?

税収増の背景

収入全体のベースアップ
法人業績の上振れや個人消費の増加が進み、減税による影響を十分に吸収してしまっていると考えられます。

「103万円の壁」を超える動き
配偶者控除や社会保険料の負担を避けるため、長らく就業調整を行う人が多かった「103万円の壁」。
近年ではこの「」を意識せず働く人が増加傾向にあるとの見方があります。

税収拡大シナリオ

例えば、多くの人が積極的に働き始めた場合、所得税や社会保険料の納付額が増えるため、減税政策の影響を上回る税収拡大が期待されます。

政策による一時的な減税があったとしても、働く意欲や経済活動の活発化が税収増に繋がるという現象が起きるのです。

国債依存率が低下、財政再建への一歩前進

日本はこれまで、新規国債を大規模に発行して国の支出をまかなってきました。
しかし、税収増加により、財政収支のバランス改善に向けた余地が生まれています。

新規国債発行依存度の推移

前年度:31%
2024年度見通し:25%

依存度が下がることで、将来世代への債務負担を軽減する可能性があり、これは財政再建に向けた重要な一歩と言えるでしょう。

課題は依然として山積み

とはいえ、国の支出の25%をいまだ国債に頼っている現実を見逃すことはできません。
この依存度をさらに低下させるには、歳出削減や持続可能な収支改善策が不可欠です。
財政再建の道のりは長く、着実な取り組みが求められる状況です。

労働人口高齢化で税収はさらに増える?

一見意外に思われるかもしれませんが、高齢者が70歳、75歳を過ぎても働き続ける動きが進むと、所得税や社会保険料の納付が継続され、税収面にプラスの影響を与える可能性があります。

就労継続を後押しする要因

定年延長や再雇用制度の拡充
高齢者の雇用機会を広げる取り組みが進行中。

フリーランス・副業などの多様な働き方
従来の雇用形態に縛られない働き方が広がりを見せています。

税収面のメリットと課題

高齢者の雇用拡大は、所得税や消費税の増加を通じて税収増に寄与しますが、一方で社会保障費の負担も増大します。
このように、税収のプラス効果と社会保障費の増加という一長一短の構図が浮き彫りになります。

超高齢化社会が迫る!社会保障改革の行方

税収が伸びているとはいえ、手放しで安心することはできません。
日本は超高齢社会を迎えており、以下のような社会保障費の負担は今後も増加し続ける見込みです。

社会保障費の主な課題

医療・介護費用の拡大
高齢化に伴い、医療や介護への支出が急増。

新たな分野の財政負担
子育て支援や防衛費など、社会の変化に応じた新たな費用が増加。

国債費の負担
利払い・償還にかかる費用も依然として大きな重荷。

必要な改革と課題

税収が多少増えたとしても、「必要な支出をまかなえない」という事態が想定されます。
社会保障改革や歳出削減は待ったなしであり、国全体でさらなる構造改革を進める必要があります。

おわりに

2024年度の税収が73兆円に達するというニュースは、一見「日本経済が好調だ」というポジティブな印象を与えます。

しかし、その背景には物価上昇や個人消費増、企業業績の上振れなど、さまざまな要因が混在しており、単純に喜べる状況ではありません。

さらに、高齢社会の進行や社会保障費の増大、国債発行依存の解消など、解決すべき課題が山積みです。
税収の拡大は「経済が改善している兆し」として捉えつつも、持続可能な財政運営や社会保障制度の抜本的な見直しが不可欠であることを再認識する必要があります。

私たち一人ひとりが「どう納税し、どう働き、どう社会を支えていくのか」を真剣に考えるタイミングが来ているのではないでしょうか。