2025年iDeCo改正|新NISAとの組み合わせで、貯蓄から投資への加速
2025年iDeCo改正決定!公的年金と個人年金の二本立てへ
2018年に金融庁から提言された老後2,000万円問題から、公的年金だけでは、通常の暮らしを維持できないことが明らかになりました。
その後、岸田政権から貯蓄から投資へといった流れを加速させるために、投資へ税制優遇策が発表されます。
2024年|新NISA
従来の期限付きの税制優遇を廃止。
年間360万円、無制限へ1,800万円の上限の中で、投資で得た利益が非課税となります。
通常の投資では投資で得た利益は20%の所得税がかかりますが、これが優遇されます。
2025年|新iDeCo
2025年の税制改正では、iDeCoの掛け金の上限が62,000円に変更されます。
現行では23,000円でしたので、39,000円の掛け金上限額アップとなります。
iDeCoの掛け金は、所得控除になりますので、収入が多いほどその減税額が変化しますが、
年収800万円ほどでしたら、23,000円から62,000円に掛け金変更すると10万円程が減税額が多くなります。
NISAが投資後、利益に対して減免されるのに対して、iDeCoは掛け金と利益が減免されます。
但しiDeCoは受取時に税金がかかりますので、受け取り方に注意しておいてください。
新NISAとiDeCoの相乗効果で「貯蓄から投資」へ
2024年の新NISAの口座開設数は3月時点で2,300万、5年間で3,400万口座を目標にしています。
資金流入額は1月から9月で12兆円、これは前年比の2.5倍です。
年間20兆円弱のペースですので、貯蓄から投資へ一気に加速していることがわかります。
この規模で投資信託の買いが進めば、相場も上げ基調になるもの当然ですね。
8月の日銀のゼロ金利政策解除後、相場の崩れもありましたが、NISAを引き上げる動きよりもさらに買い向かう動きが見えました。
コロナ渦からの株価の動きを見てみると相場の下げ時は、買い時と思われた方も多かったのではないでしょうか?
iDeCoは2024年9月時点では344万口座程となり、NISAと比較すると見劣りします。
これは掛け金を60歳になるまで引き出せないという流動性の悪さからくるものでしょう。
2025年の制度改正でどの程度、増加するのか?
社会へ浸透していけば緩やかに増加していくでしょう。
年30万~50万ほどの増加といったところでしょうか。
似たような性格を持つ制度は、国民年金基金や小規模事業共済です。
共に165~175万人が加入しています。
年金の3階建て部分や節税効果が見込めますので、対象者は積極的に運営していきたいところですね。
制度改正で一番恩恵を受けるのは誰?
今回の制度改正で、最も恩恵を受けるのは、年収600万円~2,000万円程度中高所得層です。
もちろんすべての所得層の恩恵があるのですが、所得税は累進課税ですので高所得層の減税効果が高くなっていきます。
年収2,000万円でしたら掛け金を23,000から62,000円に変更することで、30万円程度の減税となり、減税額は20万円弱UPします。
可処分所得が多い世帯ほど、掛け金はUPしまうので、高所得層が恩恵を受けやすいということです。
現行の厚生年金保険料の月額の上限は5.9万円(本人負担分)です。
iDeCoの上限額がこれを越え6.2万円に設定されたということは、老後は公的年金だけでは足りないという明確なメッセージなのです。
年収層によって、制度変更から受ける影響は変われど、制度を活用し老後資金の準備を進めておきたいところですね。
社会保障の限界と老後資金の選択肢
高齢者人口比率の増加により、今後30年ほどで、基礎年金の水準は3割程度下がる見込みです。
今後の経済成長率によって試算は変わりますが、所得代替率は現行の62%→50%になる予測も出ています。
公的年金制度が崩壊するシナリオは考えにくいですが、公的年金だけでは暮らしていけないシナリオは現実味を帯びています。
公的年金および私的年金で老後の生活防衛を行うのか?
就労期間を延ばして、収入減に対応していくのか?
この2つの選択肢になっていくと思われます。
老後は完全リタイヤではなく、楽しみながら生活の糧をえるための仕事をしていることが当然になる社会になっていくでしょう。
現在の若年層にとっては、今さえよければとか、先の話だと考えがちですが、その長い年月をメリットと捉え、複利で資産運用していくリテラシーをみにつけていきましょう!