平均給与所得と人口比率の変化が示す未来の働き方
目次
給与所得の中央値は405万円
2024年現在、日本の給与所得者の中央値は約405万円とされています。
この中央値は、給与所得者全体の真ん中に位置する数値であり、平均所得(約462万円)よりも低いことが特徴です。
これは、給与所得が高い一部の層によって平均値が引き上げられているためであり、実際には多くの人が中央値以下の所得で生活しています。
日本の給与構造は、長年にわたって大きな変化を見せています。
特にバブル崩壊後の経済停滞や非正規雇用の増加により、中間層の給与所得の伸び悩みが課題となっています。
この405万円という数字は、物価上昇や社会保険料の増加を考慮すると、生活に十分なゆとりを感じられない層が多いことを示しています。
200万円以下の給与所得者は増加しているが、比率は増えていない
近年、年収200万円以下の給与所得者が増加しているというデータがありますが、全体の人口比率ではそれほど大きな変化は見られていません。
これは、労働市場全体の規模が拡大し、低所得者層の絶対数が増加している一方で、全体の構成比率は一定に保たれているためです。
特に非正規雇用者やパートタイマー、高齢者の労働市場への参入がこの増加の背景にあります。
多くの非正規雇用者はフルタイム勤務ではなく、パートタイムや時短勤務の形態をとるため、所得が200万円以下にとどまるケースが多いのです。
しかし、これが必ずしも貧困を示すわけではなく、家庭の事情やライフスタイルに応じた働き方を選ぶ人も増えています。
600万円~1000万円の給与所得者の増加と非正規(女性・高齢者)の増加
興味深いことに、年収600万円から1000万円の給与所得者層も増加しています。
この背景には、専門職やIT、金融、医療分野の需要拡大が挙げられます。
特に中堅層以上の企業では、人手不足を背景に給与水準を引き上げる動きが見られ、高収入層が徐々に拡大しています。
一方で、非正規雇用者の増加も目立ちます。
特に女性や高齢者が非正規雇用で労働市場に参加するケースが増加しており、これが全体の給与所得構造に影響を与えています。
女性の社会進出が進む一方で、育児や介護など家庭の役割と両立するため、正社員ではなく非正規雇用を選ぶケースが多いのです。
また、高齢者は定年後の再雇用制度などを利用し、短時間勤務や柔軟な働き方を選ぶ傾向があります。
人手不足は、女性の社会進出と高齢者の就労期間延伸で賄っている
現在、日本の労働市場は深刻な人手不足に直面していますが、その大部分を女性の社会進出と高齢者の就労期間延伸が補っています。
女性の社会進出
女性の労働市場への参加率は年々増加しており、2024年時点では70%を超える水準に達しています。
特に、育児休業や働き方改革の推進によって、結婚や出産後も働き続ける女性が増えています。
ただし、多くの女性が非正規雇用を選ぶため、平均所得や所得格差の是正にはまだ課題が残っています。
高齢者の就労
高齢者の健康寿命が延び、65歳以上でも働ける人が増えていることが、就労期間の延伸を後押ししています。
定年後再雇用やシニア向けの職場が増加しており、人手不足を補う重要な労働力となっています。
労働人口が下げ止まれば、社会保障費の負担が分散される
日本の労働人口は、長年にわたり減少傾向にありましたが、近年は高齢者や女性の労働市場参入により下げ止まりの兆候が見られます。
これにより、以下のような社会的メリットが期待されます。
社会保障費の分散化
労働人口が増加することで、年金や医療費といった社会保障費の財源がより多くの人に分散され、現役世代の負担が軽減される可能性があります。
経済活動の活性化
労働力が増えることで、生産性の向上や消費拡大が見込まれ、経済成長にも寄与します。
2040年問題の解決は、健康寿命の延長によって実現される
日本では、2040年に向けて高齢化がさらに進むと予測されています。
特に、75歳以上の人口が急増する「2040年問題」は、医療費や介護費の増大を招く大きな課題です。
しかし、この問題を解決するカギは健康寿命の延長にあります。
健康寿命の延長がもたらす効果
・高齢者がより長く健康でいることで、医療費や介護費の負担を軽減。
・就労期間を延ばすことで、労働市場への貢献が可能に。
・高齢者自身の生活の質が向上し、社会全体の幸福度が上昇。
具体的な対策
予防医療の普及:健康診断や生活習慣病対策を通じて病気を未然に防ぐ。
リカレント教育の推進:高齢者が働き続けるためのスキル向上を支援。
地域コミュニティの活性化:高齢者が社会参加できる場を提供し、孤立を防ぐ。
まとめ
日本の給与所得や労働市場は、女性の社会進出や高齢者の就労増加によって変化を続けています。
人手不足や社会保障の課題を克服するには、これらの労働力を活用し、労働市場の柔軟性を高めることが重要です。
また、2040年問題を見据えた政策として、健康寿命の延長が鍵を握ります。
予防医療やリカレント教育の普及、地域社会の支援を通じて、持続可能な社会の実現を目指しましょう。
この変化が、日本の未来をより明るいものにする重要な一歩となるはずです。
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