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大阪に1万人規模アリーナ続々|なんば・森ノ宮・神戸の開発計画と”ヒガシ応募ゼロ”の真相

大阪に新アリーナ建設続々
⚠️ バブル時期の箱もの行政を忘れるな!⚠️
大阪に新アリーナ建設続々!ミナミにヒガシも

いま、大阪のまちづくりに「アリーナバブル」が起きています。

ライブ・スポーツ・イベントの需要が高まる中、大阪各地で1万人規模の新アリーナ建設計画が続々と動き出しています。

ミナミではクボタ本社跡地の開発が本格化し、ヒガシ(大阪城東部地区)では大阪メトロ・公立大学法人大阪・大阪市・大阪府が連携して次世代都市を構想中。

しかし、そんな華やかな計画の裏で、思わぬ「暗雲」も立ちこめています。

大阪に1万人規模アリーナ建設予定が続々

2025年の大阪・関西万博を前に、関西ではライブ・イベントの開催機会が急増。これに合わせて、1万人規模以上のアリーナ計画が相次いでいます。

なんばアリーナ(仮称)
収容人数:約12,000人

ミナミ地区(浪速区)の旧クボタ本社跡地に建設予定。アリーナ運営に加えてホテル・商業施設も一体化した複合開発となる見込みです。

ヒガシ新アリーナ
収容人数:約10,000人

JR森ノ宮駅北側、約53ヘクタールに及ぶ大規模開発用地。「大学とともに成長するイノベーション・フィールド・シティ」を掲げ、大学・商業施設・新駅・住宅・アリーナなどが計画されています。

ミナミはクボタ跡地、ヒガシは官民連携モデル

ミナミのなんばアリーナは、民間主導による再開発。一方、ヒガシは大阪メトロ・公立大学法人大阪・大阪市・大阪府が連携する官民一体型の開発モデルです。

大阪市は「キタ」「ミナミ」「臨海(ニシ)」に次ぐ第4の拠点として位置づけており、都市インフラ(地下鉄支線の新駅設置など)を含めた未来型のまちづくりが期待されています。

東京周辺と大阪の1万人規模アリーナ比較

名称 収容人数 状況 場所
東京ドーム 約55,000人 稼働中(多目的ドーム) 東京
さいたまスーパーアリーナ 約37,000人 稼働中 埼玉
Kアリーナ横浜 約20,000人 2023年から稼働 横浜
有明アリーナ 約15,000人 稼働中(東京五輪会場) 東京
TOYOTA ARENA TOKYO 約10,000人 建設中 東京・青海
大阪城ホール 約16,000人 稼働中(老朽化進行) 大阪
なんばアリーナ(仮称) 約12,000人 建設予定 大阪・ミナミ
ヒガシ新アリーナ 約10,000人 事業者未決定 大阪・森ノ宮
神戸Gライオンアリーナ 約10,000人 2025年から稼働 神戸・ポートアイランド

東京には複数の1万人級アリーナ+文化ホールが稼働中で、ライブ・コンサートの多様な開催が可能。対して大阪は、大阪城ホールに依存しており、新規アリーナの整備は都市競争力にも関わる重要課題です。

首都圏では東京ドーム・さいたまスーパーアリーナ・Kアリーナ横浜を中心に、3万人超の大規模ライブにも対応できる複合体制が整っています。一方、関西圏では大阪城ホールと神戸Gライオンアリーナの2拠点体制が主力であり、なんば・ヒガシの新アリーナが完成すればようやく首都圏と並ぶライブインフラ網が形成される見通しです。

ヒガシで異例の「応募ゼロ」—静かなショックが走る大阪再開発

2025年春 異例の事態発生

大阪メトロと公立大学法人大阪が中心となって進めていた「大阪城東部地区(ヒガシ)」の開発事業者募集。

結果は、応募ゼロ。

このニュースは、関係者の間に静かな衝撃を与えました。

なぜ応募がなかったのか?

「ヒガシ構想」は、ポテンシャルこそ高いものの、事業者にとってはリスクの塊でもあります。

高コスト構造と採算リスク

アリーナ建設は、総工費が数百億円規模にのぼる超大型案件。建てるだけでなく、維持・運営・イベント誘致にまで責任を持たねばなりません。

首都圏なら年間通してライブ・スポーツ・展示会の需要があるものの、関西ではまだ安定稼働モデルが確立していないのが現実です。

「建てたはいいが、動かない箱になるのでは」——そんな懸念が、デベロッパー側の手を鈍らせたとみられます。

官民連携の”難しさ”

ヒガシの開発は、大阪メトロ・公立大学法人大阪・大阪市・大阪府が連携する官民混合モデル。一見すると力強い布陣ですが、実際には「リスクとリターンの線引き」が極めて複雑です。

• 土地・インフラ整備:行政側

• 建設・運営・収益確保:民間側

この構図のままでは、民間企業にとってリターンよりリスクの方が大きいという構造が浮かび上がります。

周辺競合とのバッティング

タイミングも悪かった。同時期になんばアリーナ(仮称)や神戸Gライオンアリーナなど、他の大型案件が相次いで発表され、施工リソースと資金の奪い合いが発生。

ゼネコン各社にとって、ヒガシ案件は魅力よりも「難易度が高すぎる案件」と見られた可能性があります。

スケジュールと整備条件のアンバランス

2028年春の「まちびらき」を掲げていたものの、現実的には、用地造成・インフラ整備・新駅開発・住環境整備など複数工程が並行して進行。しかも、その多くが「未確定要素」を抱えています。

つまり、民間から見れば、「まだ地盤も駅も整っていない状態で、採算モデルを描け」という、きわめてハードルの高い要求だったのです。

ヒガシ構想はどうなる? 今後のシナリオ

考えられる3つの方向性

1. スケジュール見直し(延期または段階化)

2028年春のまちびらきは、現状では延期の可能性が濃厚。行政側も、段階的開発への移行(先に大学・住宅・新駅を優先、アリーナは第2段階に)を検討する公算が高いです。

2. 官民連携の再設計

次の公募では、リスクシェアの明確化、運営権の柔軟化、文化・教育・観光など複合用途の導入など、より「参入しやすい条件」が設定される見込みです。

3. 都市の新しい価値軸をどう創るか

ヒガシ開発が単なる「アリーナの箱モノ建設」に終わるか、それとも「大阪の未来都市の実験場」となるか――今まさに、その岐路に立っています。

そもそもアリーナの活用方法は?

アリーナは「箱」ではなく「都市のエンジン」へ

アリーナとは、単なる「ライブ会場」ではありません。それは、都市の熱と知を循環させる装置であり、時代が求める「人と人、人とまちの新しい関係」を生み出す場所です。

アリーナの「再定義」:4つの進化軸

① エンタメの中枢:音楽・スポーツ・演劇の融合

ライブ・コンサートはもちろん、バスケット・バレーボール・プロレス・eスポーツなど、アリーナの舞台は「多目的」から「多感覚」へと進化します。

照明・音響・映像演出のデジタル化により、観客は「体験の一部」になる。Kアリーナ横浜が象徴するように、「音楽体験の質で世界と競う」時代です。

② 地域経済の触媒:人が動き、街が潤う

1万人規模のイベントが開催されるだけで、宿泊・飲食・交通・小売・広告・観光の波及効果は数十億円規模にのぼります。

ミナミ(なんばアリーナ)
観光・エンタメ・ナイトカルチャー
→ アジアのライブツーリズム拠点
ヒガシ(森ノ宮)
大学・文化・イノベーション
→ 「知のアリーナ」×「市民共創のまち」
神戸(Gライオン)
国際・港湾・スポーツ
→ 世界水準の国際イベント都市
③ 防災と市民活動の拠点

アリーナは、災害時に避難所・電力供給拠点としても活用できます。太陽光や蓄電池を備えた「レジリエンス型アリーナ」が主流になりつつあり、大規模災害時には物資集積・通信拠点にもなる。

「平時は熱狂、非常時は安心」
④ 知の共創プラットフォーム

ヒガシ地区では大学が隣接するため、アリーナが「学びと産業の実験場」としても活用できます。

• 研究成果の展示・発表イベント

• スタートアップピッチ・リクルートフェア

• 次世代アーティスト・学生の発表ステージ

• 教育・文化・産業をつなぐ「知のアリーナ」

バブル時期の箱もの行政を忘れてはならない

私たちは、1980〜90年代のバブル期の箱もの行政を忘れてはなりません。立派な建物を造ったあと、維持費だけが重くのしかかり、やがて「人が来ない施設」として静かに老朽化していったケースが全国に数多くありました。

「ハコを作るのではなく、物語を育てる」

それが、次世代の都市開発に求められる発想です。

アリーナは「建物」ではなく、「関係を紡ぐ装置」。行政がつくり、企業が支え、市民が使い、大学が知を育てる。その循環がなければ、どんなに壮大な構想も「過去の焼き直し」に終わってしまいます。

「まちづくり」から「まちの物語づくり」へ

ヒガシ開発の真価は、人が集まり、語り合い、再び帰ってくる街をつくれるかにあります。大阪が誇る「商人文化」「エンタメ魂」「人情」を現代都市にどう翻訳するか——。その挑戦こそが、単なる不調の裏で静かに問われているテーマです。

ヒガシ、ミナミ、神戸——この3つのアリーナ構想は、大阪の未来を映す鏡です。

「見栄の建設」から「意味の共創」へ

バブルの反省を糧に、人が息づく都市文化の再構築がいま求められています。

アリーナが変える「人と都市の関係」

アリーナは、建物ではなく「感情の集積装置」。歓声・涙・共鳴――それらを繰り返し吸い込むことで、街は「記憶」を持ちます。そしてその記憶こそが、都市のブランド力となるのです。

「街が人を育て、人が街をつくる」

アリーナはその循環を最前線で見せてくれる、都市の心臓部。

成功するかどうかは、
「建てること」ではなく「使い続けられること」にかかっている

ヒガシの停滞は、失敗ではなく「未来を設計し直すための余白」。どうすれば、アリーナが「経済装置」ではなく「文化エコシステム」として機能するのか。

その問いに向き合うことで、大阪は「人が集まり、人が育ち、人が再び帰る都市」へと進化していくはずです。

結び:ヒガシの挑戦は、関西の未来を変える

大阪のアリーナバブルは、華やかな計画と現実の狭間で揺れています。ミナミの民間主導、ヒガシの官民連携、そして神戸の国際拠点化――それぞれが異なるアプローチで都市の未来を描こうとしています。

しかし、ヒガシの「応募ゼロ」という異例の事態が示したのは、華やかな構想だけでは都市は動かないという現実でした。

高コスト、複雑な官民連携、競合との重複、不確定なスケジュール――これらの課題は、バブル期の箱もの行政の教訓が今なお生きていることを物語っています。

アリーナは「箱」ではなく「都市のエンジン」
建てるだけでなく、育て続ける覚悟を

東京が複数の大型アリーナで文化経済圏を形成する中、大阪・神戸・奈良を結ぶ関西三都アリーナ構想が実現すれば、新しい都市の在り方を示すモデルケースになるでしょう。

ヒガシの挑戦は、今は止まっているように見えます。しかしそれは、より良い未来を設計し直すための「余白」かもしれません。

「見栄の建設」から「意味の共創」へ――
バブルの反省を糧に、人が息づく都市文化の再構築を
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