万博はそもそも赤字!?その理由と、誰がそのツケを払うのか【わかりやすく解説】


目次
はじめに|万博は黒字を目指すイベントではない


「万博ってすごいイベントなんだから、黒字になるんでしょ?」
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
でも実は──万博は赤字を前提とした国家プロジェクトです。
収支だけを見れば赤字でも、「未来への投資」「都市開発」「技術実証」「国際発信」など、広い意味での“回収”を目指すイベントなのです。
万博の収支構造|どこで赤字が出るのか


万博の支出は、大きく分けて以下の2つです。
建設費(会場整備等):約2,350億円
運営費(スタッフ、警備、通信など):約800億円
→ 合計:約3,150億円
一方で収入の柱は?
入場料収入(6,000円 × 来場者数 × 割引調整後)
スポンサー収入や関連事業収益
たとえ目標の2,820万人が来場しても、入場料+関連収入は1,400億円程度が限界と言われています。
つまり、約1,700億円の赤字は最初から想定済みなのです。
来場者数が減ると何が起きる?


仮に来場者数が目標の2,820万人から、1,800万人に減少したとしましょう。
入場料収入の減少:約64億円
物販・飲食・広告など関連収入の減少:約217億円
合わせて、約280億円の追加赤字が出ると見られます。
実際の赤字額はどれくらい?


来場者数が減ったシナリオでは、赤字額は以下のように拡大します。
来場者数 赤字額(概算)
2,820万人(目標) 約1,750億円
1,800万人(減少時) 約2,030億円
赤字は誰が負担する?分担の内訳
すでに決定している建設費の負担構造は以下の通りです。
国:1/3(約783億円)
大阪府・大阪市:1/3(合わせて約783億円)
経済界:1/3(約783億円)
赤字がさらに拡大した場合、追加の2,000億円赤字は以下のように分担されると見られます(実質的想定)
負担主体 | 想定負担割合 | 想定額 |
---|---|---|
国 | 約50% | 約1,000億円 |
大阪府+市 | 約25%(折半) | 約500億円 |
経済界 | 約25% | 約500億円(追加調整中) |
企業の負担はどう処理される?税務的な視点「万博は節税のお祭り!?」


『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第94巻「開催決定!?未来博の巻」より
企業が万博に支出するお金は、「寄付」か「広告宣伝費」のどちらかで処理されます。
処理区分 | 特徴・税務処理 |
---|---|
広告宣伝費 (例:パビリオン出展、スポンサー契約) |
全額損金算入が可能。宣伝活動としての位置付け。 |
寄付金 (例:純粋な支援、協賛など) |
法人税法上の制限があり、損金算入には上限あり。 |
※ 実務上は「パビリオン出展=広告費」「一般支援=寄付」として処理するケースが多く見られます。
まとめ|数字だけでなく“何を残すか”が大切
大阪・関西万博は、数字だけを見れば確かに赤字です。
どれだけ来場があっても黒字にはなりません。
収益性のためのイベントではないからです。
ですが本質は、未来のために何を残すか。
・インフラ整備
・観光ブランド向上
・技術の実証
・国際関係の構築
こうした“見えないリターン”を得ることができれば、たとえ赤字でも“成功”と評価されるのです。