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おにぎりの具、歴史と進化|新米の季節に知りたい定番から最新トレンドまで

秋の訪れとともに、あちこちのスーパーに「新米」の文字が並びはじめました。
お米が主役になる季節の到来です。
そんな時期に食べたいのは、やっぱり”日本人の心”ともいえる おにぎり。
手のひらに収まる小さなごちそう。
具材ひとつで、味わいも思い出も変わる不思議な食べ物――。
今回は、古き良き定番から最新トレンドまで、「おにぎりの具」の進化をまるごと紐解きます。
目次
おにぎりの具で歴史が古いのは「梅・昆布・鮭」
おにぎりの原型は、じつは弥生時代(約2000年前)の遺跡からも発見されています。
石川県の「杉谷チャノバタ遺跡」から、炭化した”握り飯”が見つかっており、これが日本最古のおにぎりとされています。
その後、戦国時代には兵糧(ひょうろう=携帯食)として使われ、竹の皮や笹に包んだ携行食として、武将たちの出陣にも欠かせない存在に。
そんな長い歴史の中で、”具材”として登場したのが――保存性と味わいを両立した、梅干し・昆布・鮭でした。
今やおにぎりは、「食べる」から「体験する」ものへと変化しています。
- 炊きたての新米を、塩だけで握る”原点回帰派”
- 鮭と昆布を層にした”味のマリアージュ派”
- カラフルな断面で魅せる”おにぎりアート派”
さらに、季節や旅の思い出、地元の味などを包み込む「ご当地おにぎり」も増加。
いまやおにぎりは、“人と土地と時間をつなぐ小さな文化の器”になりました。
おにぎり文化は国境を超え海外へ
海外では「ONIGIRI」「RICE BALL」として人気急上昇中。
ニューヨークではヴィーガンおにぎり専門店が行列を作り、パリではサーモン×チーズ×ハーブの創作おにぎりが話題に。
おにぎりはもはや“米食のグローバルアンバサダー”。
「寿司」ほど敷居が高くなく、誰でも手軽に作れて持ち運べる――そんなシンプルさが、世界の人々を魅了しています。
- Aki Boulanger:サンタンヌ通りの和系ベーカリー、テイクアウトおにぎり有
- パリのおにぎり特集まとめ:複数店を網羅する最新ガイド
- Zen Musubi:手握りオムスビ専門、クラシック〜創作まで
- Yamada Onigiri:ロンドン発の手作りおにぎり販売
- ロンドンおにぎりガイド:専門・強い店の横断紹介
- ONIBAR:「ベルリン初のオンギリショップ」を掲げる実店舗/デリバリー拠点
- Rice In:おにぎり提供の老舗系スポットの一つ
- ONIT Onigiris:おにぎりに特化した店舗(C/Fernández de los Ríos 106)
- Sankaku:おにぎり提供の新店として話題化
📊欧州でもパリ・ロンドン・ベルリンを中心に”専門/強い店”が着実に増加。特にパリは寿司・ラーメンに次ぐ定番として存在感が高まりつつある、との報道。
まとめ
国内の新しい農林水産大臣は「コメの増産をやめる理由」として、「需要が伸びないから」と述べました。
輸出すればいい、しかし、それは“海外のスーパー事情を知らない人の発想と大臣は言います”
しかし需要と市場とは、すでにある場所に運ぶものではなく、自ら設計し、創り出すものです。
実際、海外では日本のおにぎりが静かにブームを起こしています。
パリやロンドンでは専門店が増え、欧州全体で市場は年率10%を超える成長を見せています。
“ONIGIRI”は、SUSHIの次に世界が注目する「日本のライスフード」として、新しい文化的輸出品になりつつあります。
この潮流を視野に入れれば、コメの増産とコメ価格の問題は、両立して解決できます。
すなわち、
この二軸戦略こそが、日本の農業を“守る”のではなく”攻める”ための道です。
もし私たちが「おにぎり」を”輸出できる食文化産業”として育てれば、コメは再び、国を支える成長産業になります。
需要は待つものではなく、創るもの。
あなたは、おにぎり需要の10年後を、すでに換算していますか?
10年後の農政へのvisionは、次の世代にこの素晴らしい食文化を引き継ぐことにあるのです。
平安時代の文献『延喜式(えんぎしき)』(927年)には、すでに梅干しが「薬」として登場しています。
抗菌・防腐作用を持つことから、室町時代にはおにぎりの中心に入れて長持ちさせる工夫が生まれました。
“梅=魔除け”という意味もあり、長旅や戦の守り神的存在でもありました。
昆布は、江戸時代に北海道と関西を結んだ北前船貿易によって全国に広まりました。
当時の大阪や京都では「おにぎりの中に昆布を入れる」文化が定着。
とくに塩昆布は、日持ちがよく、うま味も凝縮されていたため、庶民の味として大人気に。
いまでも関西で昆布おにぎりが定番なのは、その名残なんです。
鮭は古くから「塩鮭」として保存され、東北や北海道では冬を越すための必需品でした。
江戸時代後期になると、“焼き鮭をほぐしてご飯に混ぜる”という文化が誕生。
庶民が「贅沢なおにぎり」として楽しむようになり、やがて全国に広まります。
これらの具材は、時代ごとの知恵と流通の進化を象徴する存在。
まさに「おにぎり文化のDNA」と言っても過言ではありません。
18〜19世紀(江戸中期〜後期)、蝦夷(北海道)と大坂を結ぶ”北前船”が誕生します。
この船が運んだのが、北海道の海産物――昆布、鮭、ニシンなど。
それまで本州では手に入らなかった昆布が、この時代に一気に全国流通するようになったのです。
その北前船の代表格が、淡路島出身の船主・高田屋嘉兵衛(1769–1827)。
彼は単なる商人ではなく、
- 北海道の昆布を大阪・京都・江戸へ安定供給
- 昆布を中国や琉球(沖縄)経由で輸出し、「海のシルクロード」を形成
- 日本海航路の安全航行を確立(測量・航路開発も行った)
つまり、昆布という食文化を”地域の珍味”から”日本の共通調味料”へ押し上げたのが嘉兵衛なのです。
嘉兵衛の流通網によって、関西では昆布加工業が発展。
特に大阪では、塩昆布(佃煮)、とろろ昆布が次々と生まれ、江戸時代後期には家庭の常備食となります。
その結果、「おにぎりの中に昆布を入れる」文化が庶民の間に定着。
保存性・旨味・価格の手頃さを兼ね備え、”日常のおにぎり”に革命をもたらしました。
こうして、平安からの梅干し、江戸の北前船がもたらした昆布、同じく蝦夷から流通した塩鮭。
この三者が揃い、私たちが今親しむ「定番おにぎりの具」が確立されたのです。
シーチキンマヨネーズは、実はまだまだ”新参者”
現代の子どもたちには定番でも、ツナマヨの登場は意外と最近のこと。
1970年代後半、家庭にマヨネーズが普及しはじめた頃に誕生した”新世代の具材”です。
コンビニおにぎりが普及した1990年代、「ほぐれる」「まろやか」「食べやすい」という3拍子がそろい、ツナマヨは一気に国民的ヒットに。
今や”梅・鮭・ツナマヨ”が三強と呼ばれるほどの人気ぶり。
おにぎり界の革命児――それがツナマヨです。
コンビニ各社による”高級・多様化”路線
昔は100円玉で買えたおにぎりも、今や”ちょっとした贅沢”の象徴に。
ローソンの「金しゃりおにぎり」、セブンの「ふっくら新潟コシヒカリ」、ファミマの「ごちむすび」など、各社がこだわり抜いたブランド米や具材で”専門店レベル”の味を競い合っています。
- 黒毛和牛すき焼き
- 炙り明太マヨ
- いくら醤油漬け
- 海老天むす
もはや「軽食の域を超えた」ラインナップに。
もはやおにぎりは”お米のファインダイニング”と言っても過言ではありません。
おにぎらず・おにぎりサンドで広がる”自由な発想”
おにぎりといえば、長らく「具材はひとつ」が常識でした。
梅なら梅、鮭なら鮭――中心にぽんと入れるのが日本人の美意識。
しかし、時代は変わります。
2014年、漫画『クッキングパパ』に登場した「おにぎらず」がSNSで話題に。
海苔でご飯と具を包むだけの簡単レシピが爆発的に広まり、”手を汚さず、自由に包める”という新しいおにぎり文化を生み出しました。
現代では、おにぎりは「料理のミニチュアプレート」。
- 鮭 × 昆布 × 卵焼き(定番の三位一体)
- ツナマヨ × レタス × アボカド(洋風カフェスタイル)
- 豚キムチ × 半熟卵 × 青じそ(ガッツリ派)
味のバランスを考えながら重ねる楽しみは、もはや”創作の領域”です。
2025年の大阪・関西万博でも、注目されているのが片手で食べられる”のり弁型おにぎり”。
のり弁といえば、日本人のソウル弁当。白ご飯の上に海苔、そしておかか・ちくわ天・白身フライ――。
この懐かしの構成を、ワンハンドで食べられるよう再構築した新スタイルです。
見た目はおにぎり、でも味はのり弁。
・ご飯の層の間におかかや昆布
・トップにフライや卵焼き
・海苔で全体を包み込み
という、いわば「おにぎらず+のり弁=日本の新ハイブリッドフード」。
“具材はひとつじゃなくていい”という発想は、ただのレシピではなく、”日本人の食文化の再構成”でもあります。
おにぎりは今、古典と革新を包み込む「文化のフィールドノート」。
「個性を組み合わせて新しい調和を生む」という価値観そのものの変化。
それは、和食がグローバルに愛される理由とも重なります。
キッコーマンの「オニギリッチ」やチューブ明太子など、”具材革命”の時代
おにぎりは、かつて”腹を満たすための携帯食”でした。
戦国時代の兵糧、農作業中の昼食、旅の途中の糧――その原点には「どこでも食べられる」という機能性がありました。
炊きたてのご飯を塩で握り、梅や昆布を入れる。腐りにくく、持ち運びもできる。
まさに、当時の「モバイルフード」=おにぎりだったのです。
江戸時代には、旅人や職人たちの必需品。手を汚さず食べられ、保存もきく。
弁当文化の中でも、最も”人と動きに寄り添う食べ物”でした。
“おにぎり=実用”という図式が、長く続いたのです。
しかし現代では、役割が大きく変化しました。
忙しい日常の中でも「自分らしく食を楽しみたい」という気持ちが高まり、おにぎりは”ただの軽食”から、“見た目も味もこだわる食文化”へと進化しました。
この流れを後押ししているのが、先述のおにぎらずや食品メーカーによる具材バリエーションの拡張です。
しょうゆベースの液体具材「オニギリッチ」や、チューブタイプの明太子・鮭フレークなど、”手軽にプロの味”を再現できる新商品が続々登場。
それにより、おにぎりは「買うもの」だけでなく、運動会のお弁当の主役の座まで駆け上がりました。
「作って、見て・食べて、楽しむもの」へ。
家庭でも自分好みに味をカスタマイズする文化が根づき、味・見た目・ストーリーを楽しむ時代へ。
今やおにぎりは、「食べる」から「体験する」ものへと変化しています。
- 炊きたての新米を、塩だけで握る”原点回帰派”
- 鮭と昆布を層にした”味のマリアージュ派”
- カラフルな断面で魅せる”おにぎりアート派”
さらに、季節や旅の思い出、地元の味などを包み込む「ご当地おにぎり」も増加。
いまやおにぎりは、“人と土地と時間をつなぐ小さな文化の器”になりました。
おにぎり文化は国境を超え海外へ
海外では「ONIGIRI」「RICE BALL」として人気急上昇中。
ニューヨークではヴィーガンおにぎり専門店が行列を作り、パリではサーモン×チーズ×ハーブの創作おにぎりが話題に。
おにぎりはもはや“米食のグローバルアンバサダー”。
「寿司」ほど敷居が高くなく、誰でも手軽に作れて持ち運べる――そんなシンプルさが、世界の人々を魅了しています。
- Aki Boulanger:サンタンヌ通りの和系ベーカリー、テイクアウトおにぎり有
- パリのおにぎり特集まとめ:複数店を網羅する最新ガイド
- Zen Musubi:手握りオムスビ専門、クラシック〜創作まで
- Yamada Onigiri:ロンドン発の手作りおにぎり販売
- ロンドンおにぎりガイド:専門・強い店の横断紹介
- ONIBAR:「ベルリン初のオンギリショップ」を掲げる実店舗/デリバリー拠点
- Rice In:おにぎり提供の老舗系スポットの一つ
- ONIT Onigiris:おにぎりに特化した店舗(C/Fernández de los Ríos 106)
- Sankaku:おにぎり提供の新店として話題化
📊欧州でもパリ・ロンドン・ベルリンを中心に”専門/強い店”が着実に増加。特にパリは寿司・ラーメンに次ぐ定番として存在感が高まりつつある、との報道。
まとめ
国内の新しい農林水産大臣は「コメの増産をやめる理由」として、「需要が伸びないから」と述べました。
輸出すればいい、しかし、それは“海外のスーパー事情を知らない人の発想と大臣は言います”
しかし需要と市場とは、すでにある場所に運ぶものではなく、自ら設計し、創り出すものです。
実際、海外では日本のおにぎりが静かにブームを起こしています。
パリやロンドンでは専門店が増え、欧州全体で市場は年率10%を超える成長を見せています。
“ONIGIRI”は、SUSHIの次に世界が注目する「日本のライスフード」として、新しい文化的輸出品になりつつあります。
この潮流を視野に入れれば、コメの増産とコメ価格の問題は、両立して解決できます。
すなわち、
この二軸戦略こそが、日本の農業を“守る”のではなく”攻める”ための道です。
もし私たちが「おにぎり」を”輸出できる食文化産業”として育てれば、コメは再び、国を支える成長産業になります。
需要は待つものではなく、創るもの。
あなたは、おにぎり需要の10年後を、すでに換算していますか?
10年後の農政へのvisionは、次の世代にこの素晴らしい食文化を引き継ぐことにあるのです。