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日銀が公定歩合0.75%に引き上げ──30年ぶりの利上げで何が変わる?為替・物価・住宅ローンへの影響を解説

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0.75%への引き上げは30年ぶり

2025年12月19日、日本銀行が公定歩合を0.75%へ引き上げました。
この水準は、実に約30年ぶり。
長く続いた「超低金利」「金利はほぼゼロが当たり前」という時代が、いよいよ転換点を迎えたことを意味します。

これまで日本経済は、

  • 金利を下げてお金を回す
  • 借りやすさを最優先する

という構造で支えられてきました。
今回の引き上げは、「非常時モード」から「平常運転」へ戻していく第一歩とも言えます。

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どんな影響がある?為替・物価・株価

金利が上がると、経済にはいくつかの連鎖反応が起きます。

為替
円の金利が上がれば、円を持つ魅力が相対的に高まります。
急激ではないものの、円安のブレーキとしてはプラスに働きます。

物価
金利上昇は、過度な消費や投資を抑える方向に作用します。
そのため、インフレ(物価上昇)をじわっと抑える効果が期待されます。

株価
一方で、株式市場にとってはやや逆風。
「借入コストの上昇」「将来利益の割引率上昇」により、
短期的には株価が調整しやすい局面になります。

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普通預金にも金利がつく世界へ

今回の利上げで象徴的なのは、
「普通預金にも、ようやく意味のある金利がつく世界」が戻ってきたことです。

  • 預けているだけで、わずかでも利息がつく
  • 貯める人が、きちんと報われる

これは特に、高齢世代・現金・預金比率が高い層にとってはプラスです。

一方で、住宅ローンや事業融資などを抱える現役世代・若年層には負担増となります。
金利のある世界は、世代間での影響差がはっきり出る世界でもあります。

住宅ローン破綻増加の懸念
日本の住宅ローン破綻率は、平常時で年0.1~0.3%程度と極めて低水準です。
金利が上昇しても、制度的な緩衝装置があるため、破綻が一気に広がる構造ではありません。ただし、高倍率借入など一部の層では、影響が集中する点には注意が必要です。
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諸外国を見渡すと、まだまだ低金利水準

とはいえ、0.75%という水準は、国際的に見ると依然として低金利です。

国・地域 中央銀行 政策金利(概ね)
日本 日本銀行 0.75%(30年ぶりの水準)
米国 米連邦準備制度(FRB) 約 3.50〜3.75%
欧州(ユーロ圏) 欧州中央銀行(ECB) 約 2.15%
英国 イングランド銀行(BOE) 約 3.75%
オーストラリア RBA 約 3.60%
カナダ カナダ銀行(BOC) 約 2.25%
中国 中国人民銀行 約 3.00%
スイス スイス国立銀行(SNB) 0.00%付近
  • 欧米では政策金利が数%台
  • 日本はようやく「ゼロ脱却」の入り口

という位置づけです。

※スイスのように0%前後で据え置きの国もあるため、金利水準は各国の経済環境やインフレ状況によって大きく異なっています。

今回の引き上げは、「引き締め」というよりも、異常な低金利からの正常化と捉える方が実態に近いでしょう。

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金利が2~3%でも耐えられる社会構造を作れるか?

本質的な問いは、ここです。
金利がさらに上がり、2~3%が当たり前の世界になったとき、
私たちの社会や企業、家計は耐えられるのか。

そのためには、

  • 賃金が上がる構造
  • 価格転嫁ができる企業体質
  • 借金前提ではない経営・家計設計

が不可欠です。

低金利に慣れきった社会から、「金利があることを前提に設計された社会」へ。
今回の0.75%引き上げは、その覚悟を問われるスタートラインなのかもしれません。
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