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2025.08.05

従業員のやる気が劇的に変わる「社内通貨制度」完全ガイド

従業員のやる気が劇的に変わる「社内通貨制度」完全ガイド

~導入事例から具体的な始め方まで~

この記事で分かること

  • 社内通貨制度とは何か、なぜ効果的なのか
  • 成功企業3社の具体的な導入方法と効果
  • あなたの会社でも始められる実践的なステップ
  • 導入時の注意点と失敗を避ける方法

「ありがとう」や「頑張ったね」と言われるだけで、ふっと心が軽くなる——そんな経験、ありませんか?

実は、人は金銭的な報酬よりも「認められた」という実感に強く反応することが、行動経済学の研究で明らかになっています。

特に現代の職場では、チーム間の調整や後輩指導、場の空気を読む力など、「数字に現れない貢献」が組織を支えているのに、正当に評価されないという課題があります。

そこで注目されているのが「社内通貨制度」です。見えない頑張りを可視化し、組織全体のやる気を引き出すこの仕組みを、実際に導入して成果を上げている企業事例とともに、あなたの会社での始め方まで詳しく解説します。

社内通貨制度とは?3分で分かる基本の仕組み

社内通貨制度の定義

社内通貨制度とは、社員同士の感謝や協力、目立たない貢献を専用のポイント(通貨)で評価・交換できる仕組みです。

なぜ今、注目されているのか?

現代の職場では「ジョブ型雇用」が広がり、明確な職務定義以外の仕事が評価されにくくなっています。しかし実際には:

  • 見えない貢献が組織を支えている:会議の準備、新人のフォロー、トラブル対応など
  • 承認欲求が働くモチベーションの大きな要因:給与だけでは満たされない「認められたい」気持ち
  • チームワークの重要性が増している:個人の成果だけでは限界がある

社内通貨は、これらの課題を解決する「心の報酬システム」として機能します。

成功事例から学ぶ:3社の導入方法と効果

事例1:ディスコ(半導体製造装置)

社内通貨名:「ウィル(Will)」

導入のポイント

  • 社員の成果や協力をウィルポイントで定量化
  • ウィルの蓄積量が現金賞与に直接連動
  • 年功序列を排し、貢献度で評価する文化を構築

具体的な効果

  • 2023年度:社員1人あたり賞与平均527万円を実現
  • 離職率の大幅低下(具体的数値は非公開)
  • 部署間の協力が活発化

成功の秘訣:金銭的インセンティブと直結させることで、制度への参加意欲を高めた

事例2:ロート製薬

社内通貨名:「ARUCO」

導入のポイント

  • 業務貢献だけでなく、健康活動やボランティアも評価対象
  • 社員食堂や自社商品購入に使用可能
  • 多様な働き方や価値観を評価する仕組み

具体的な効果

  • 社員の健康意識向上:健康診断受診率95%以上
  • 社内コミュニケーションの活性化
  • ワークライフバランスの改善

成功の秘訣:業務以外の活動も評価することで、社員の全人格的な成長を支援

事例3:サイボウズ

社内通貨名:「サイボウズコイン」

導入のポイント

  • 感謝の気持ちをコインとして送り合う仕組み
  • 福利厚生や社内イベントでの特典と交換
  • 心理的安全性を重視した運用ルール

具体的な効果

  • 離職率:28%→4%に大幅改善
  • 社内アンケート「働きがい」スコア向上
  • チーム間の壁が低くなり、協力が増加

成功の秘訣:感謝を伝える文化を制度として定着させ、心理的安全性を向上

あなたの会社でも始められる!導入の5ステップ

ステップ1:現状分析と目的設定(所要期間:1ヶ月)

やること

  • 社員アンケートで現在のモチベーション状況を把握
  • 「見えない貢献」の具体例をリストアップ
  • 制度導入の目的を明確化(離職率改善、協力促進など)

具体例

【アンケート例】
・現在の仕事のやりがいを10点満点で評価してください
・同僚からの感謝や評価を感じる機会はありますか?
・職務以外でも会社に貢献していると感じることがありますか?

ステップ2:制度設計(所要期間:2ヶ月)

決めるべき要素

項目 選択肢例 推奨
通貨名 ○○ポイント、○○コイン 会社の理念に合った名称
付与基準 感謝、協力、成果、健康活動 明確で分かりやすい基準
付与量 1回5-100ポイント 気軽に送れる少額から
使用用途 福利厚生、商品、現金 社員のニーズに合わせて
運用ツール 専用アプリ、社内システム 使いやすさを最優先

小規模企業向けの簡易版

  • 月1回の感謝カードでスタート
  • エクセルやGoogleスプレッドシートで管理
  • コンビニ券や有給休暇と交換

ステップ3:試験導入(所要期間:3ヶ月)

対象:まずは1部署(10-20人)でテスト実施

運用ルール例

  • 毎月1人あたり100ポイントを配布予算として設定
  • 週1回は必ず誰かに感謝ポイントを送る
  • 月末に利用状況と効果を振り返り

成功指標

  • 参加率:80%以上
  • ポイント送信回数:1人あたり月4回以上
  • 満足度アンケート:7点以上(10点満点)

ステップ4:全社展開(所要期間:6ヶ月)

展開戦略

  • 試験導入部署の成功事例を社内で共有
  • 部署ごとに段階的に拡大
  • マネージャー層の積極的参加を促進

継続のコツ

  • 月次の集計結果を社内に公開
  • 優秀事例の表彰制度を設ける
  • 定期的に制度の見直しを実施

ステップ5:効果測定と改善(継続実施)

測定指標

  • 定量指標:離職率、社内アンケートスコア、協力行動の回数
  • 定性指標:社員の声、管理職の観察、組織の雰囲気変化

改善サイクル

  • 四半期ごとに制度の見直し
  • 社員からのフィードバック収集
  • 新しい評価項目の追加検討

導入時の注意点:失敗を避ける5つのポイント

よくある失敗パターン

  1. 形骸化してしまう
    原因:上司からの強制参加、明確な基準がない
    対策:自発的参加を促し、具体的な評価基準を設定
  2. 不公平感が生まれる
    原因:一部の人にポイントが集中、透明性の不足
    対策:配布状況の可視化、多様な評価軸の設定
  3. システムが複雑すぎる
    原因:高機能すぎるツール、複雑なルール
    対策:シンプルな仕組みからスタート、段階的に拡張
  4. 経営層のコミット不足
    原因:現場任せ、予算や時間の制約
    対策:経営層自らが制度を活用、十分なリソース確保
  5. 短期間で効果を求めすぎる
    原因:文化変革には時間がかかることの理解不足
    対策:長期的視点で運用、小さな変化も評価

投資対効果:導入コストと期待される効果

導入コスト(年間・100人規模)

項目 金額 内容
システム構築・運用 50-200万円 専用アプリ開発または既存ツール導入
ポイント交換商品 100-300万円 福利厚生、商品券、現金など
運用人件費 100-200万円 制度管理、効果測定の専任担当
合計 250-700万円 規模と内容により変動

期待される効果(年間)

効果 推定削減額 根拠
離職率改善 500-1000万円 採用・教育コスト削減
生産性向上 300-800万円 協力増加による効率化
病欠・メンタル不調減少 100-300万円 健康経営効果
合計効果 900-2100万円

投資回収期間:6ヶ月~1年(適切に運用された場合)

まとめ:次のアクションプラン

社内通貨制度は、単なる「新しい評価制度」ではありません。組織の心を豊かにし、全員が活き活きと働ける文化を創る仕組みです。

今日からできる3つのアクション

  1. 現状把握:社内の「見えない貢献」をリストアップしてみる
  2. 小さく始める:まずは月1回の感謝カードから実践
  3. 仲間を巻き込む:同僚や部下と「感謝を伝える文化」について話し合う

本格導入を検討される方へ

  • 社内でのプレゼン用資料が必要な方
  • 他社の詳細な導入事例を知りたい方
  • 専門家のサポートを受けたい方

は、ぜひお気軽にお問い合わせください。あなたの会社に最適な社内通貨制度の設計をサポートいたします。


参考資料

  • 各社IR資料および公開情報
  • 行動経済学関連研究論文
  • 人事制度改革事例集

最終更新:2025年8月