良いチームの3要素とは何か?


目次
チームの3つ要素を提唱したチェスター・バーナードとは?
チェスター・バーナードは、1930年代に活躍したアメリカの経営思想家・実務家であり、現代組織論の父と称される人物です。
彼の代表作『経営者の役割(The Functions of the Executive)』は、今なお多くの経営者や人事担当者に読み継がれています。
彼の理論の本質は、「組織は単なる構造ではなく、“人と人との協働”によって成り立つものである」という点にあります。
バーナードの組織論の基本構造
バーナードは、組織を3つの要素で定義しました。
要素 | 内容 |
---|---|
共通目的 | 組織全体が目指す方向性やゴール |
協働意思 | メンバーが「共にやろう」と思える精神的な結びつき |
意思疎通(コミュニケーション) | 情報の共有や感情の伝達、信頼関係の構築 |
つまり、バーナードにとって組織とは、「命令と上下関係によって成り立つものではなく、“納得して協働する人間の集まり”」という考え方が根幹にあります。
労務管理にどう活かせるのか?


バーナードの思想は、現代の労務管理に数多くの示唆を与えてくれます。
以下の3つの視点で現場に応用できます。
共通目的を共有するマネジメント
目の前の業務をただこなすのではなく、「なぜこの仕事をするのか」「誰のためになるのか」という目的意識をチーム内で共有することで、やらされ仕事ではなく、“納得感のある仕事”に変えることができます。
協働意思を育てる職場づくり
報酬や制度だけで人は動きません。
「この人たちと働きたい」「自分も役に立ちたい」という感情的な結びつきが、離職防止やエンゲージメントの向上に直結します。
面談や1on1、感謝のフィードバックなど、日々の関係性づくりがカギです。
コミュニケーションの質を高める
単なる「報告・連絡・相談」ではなく、「声をかけやすい雰囲気」「受け入れてもらえる安心感」を作ることが重要です。
上司が聞く耳を持つこと、部下が安心して意見できる場をつくることが、バーナードが言う「組織の生命線」である“意思疎通”の実現につながります。
命令ではなく「受け入れられる条件」納得がある


バーナードが非常に興味深い視点として示したのが、「命令の受容条件」です。
人は言われたから従うのではなく、次の4つの条件を満たしたときに「納得して行動する」と彼は説きました。
バーナードが示した「命令の受容条件」
- 命令の内容を理解できること
(何を求められているのか、明確である) - 命令の内容が組織目的と一致していること
(納得できる方向性がある) - 命令が個人の利益や価値観と矛盾していないこと
(自身の感情や信念と対立しない) - 命令を遂行する能力と状況が整っていること
(実行可能な条件がそろっている)
つまり、一方的な命令や指示は、人を動かすどころか、逆効果になり得るということです。
「相手に届く伝え方」「相手の状況を踏まえた指示」が求められているのです。
おわりに|組織は「生き物」である


バーナードの理論は、管理のための理屈ではなく、「人間的な組織」の在り方を描いた思想です。
労務管理においても、制度やルールより先に、“人”を理解し、“関係性”を整えることが、本質的な職場改善につながります。
バーナードの教えを現代に活かすことは、「人が人らしく働ける組織づくり」の第一歩かもしれません。