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2025.08.19

AIエージェントで業務改善をする手順について

人手不足やコスト削減、働き方改革への対応が求められる今、AIエージェントの活用は大きな鍵となります。

しかし、「何から始めればよいかわからない」という声も多く聞かれます。

本記事では、AIエージェントを活用して業務改善を進めるための基本的な手順を、現場目線で分かりやすく解説します。

AIエージェントで、どうやって業務改善するのか?

AIエージェントとは、単なるチャットボットや自動化ツールではなく、人の代わりに業務をこなす知的労働のパートナーです。

業務改善の第一歩は、「AIに任せられる業務」を正しく見極め、AIと人が最適に役割分担できる状態をつくることです。

そのためには、まず 業務の可視化と分解 が必要です。

業務フローやオペレーションの洗い出しから始めよう

現場で行われている業務を、一つひとつ丁寧に書き出してみましょう。

ToDoリストではなく、「業務の流れ」「各工程の意思決定・判断基準」までを含めた プロセスマップ を作成することがポイントです。

これにより、どこにボトルネックがあるのか、どこが自動化に適しているかが見えてきます。

フォーム事例:業務フロー・オペレーション洗い出しシート
項目 記入例 補足
業務名 顧客からの問い合わせ対応 業務単位で記載(例:請求処理、日報作成など)
実施頻度 毎日(10〜15件) 数が多いものほど自動化メリットが大きい
実施者 主に事務スタッフ(2名) 誰が担当しているか(属人化の有無)
所要時間 1件あたり約10分 合計の工数を算出しやすくなる
使用ツール メール/Excel/社内チャット 利用中ツールと手動かどうか
手順(概要) ①メール確認 → ②内容を確認 → ③回答テンプレ作成 → ④送信 ステップごとに分解する
判断が必要か 一部あり(対応の優先順位) AIに任せられるかの判断基準になる
トラブル頻度 月1〜2件(送信ミスや重複対応) エラーが多い箇所は改善余地あり
ナレッジ有無 回答テンプレはあるが個人フォルダに保存 共通化・整備の余地を探る

人の手順はその人の思考プロセスも分解すること

「Aさんじゃないとできない仕事」には、必ず 思考や判断のクセ・基準 が潜んでいます。

単なる手順ではなく、どう考えてその判断に至ったか という「暗黙知」を言語化し、AIが再現できるように整理することが重要です。

ここを疎かにすると、AIがうまく動かない」原因になります。

事例:クレーム対応マニュアルのAI化

ある店舗では、「クレームの初動対応」は店長だけが行っており、アルバイトや新人スタッフは判断できない状態でした。

店長の対応はマニュアル化されていなかったため、AI化するには「どのクレームにどの対応を選ぶか」の思考パターンの見える化が必要でした。

  • 判断基準1:相手が感情的か理性的か
  • 判断基準2:事実誤認か、要求が妥当か
  • 対応パターン:謝罪+説明/謝罪+代替案提示/責任者引き継ぎ など

この思考プロセスをフロー図とQ&A形式で整理し、AIチャットボットに組み込むことで、新人でも適切な対応方針を瞬時に選べるようになりました。

このように、「やり方」だけでなく「考え方」までAIに伝えることで、再現性のある仕組みが構築できます。

労働リソースが多い、反復され、何度繰り返されるポイントを見つけよう

AIエージェントは、繰り返し・定型的な業務に強みを発揮します。
特に、次のような業務は自動化の優先順位が高い領域です:

  • 問い合わせ対応
  • データ入力・転記作業
  • 定型レポート作成
  • 日次や週次のルーティン業務 など

事例:予約受付の自動化

ある美容サロンでは、電話での予約対応に1日あたり2〜3時間のスタッフ工数がかかっていました。
予約内容はパターンが決まっており、質問も「空き時間は?」「担当者の変更は可能?」など定型的なものが多く、AIエージェントによるチャット対応を導入。

その結果:

  • 予約受付の80%以上がAIで完結
  • スタッフの手間が月40時間以上削減
  • ミスやダブルブッキングもゼロに

これにより、スタッフは接客やサービス品質向上など
本来の価値を生む業務に集中できるようになりました。

このように、「よくある質問」「単純な入力」「繰り返しの確認作業」などは、AIに置き換えることで大幅な時短と品質向上が見込めます。

属人性があり、取得に時間がかかるものをナレッジ化しよう

業務の中には、「教えるのが難しい」「引き継ぎに時間がかかる」といった 属人化 した領域があります。

これらをAIに学習させるためには、まず人の頭の中のノウハウを 形式知化(ナレッジ化)する必要があります。
動画、FAQ、業務マニュアル、Q&A集などを整備し、AIが参照できる情報源を育てましょう。

事例:新人教育のマニュアル動画+Q&A自動応答化

ある営業チームでは、「ベテラン社員による新人育成」が完全に属人化しており、教える人によって内容にばらつきが出ていました。
そこで、トップセールスの商談ロールプレイ動画+AIナレッジベースを作成し、次の施策を導入しました:

ナレッジ構築

  • 商談トーク例・想定Q&A・競合比較表を整理
  • 動画・文書・FAQを一元化してAIに読み込ませる

活用フェーズ

  • 新人が疑問をAIに即質問できるチャットボットを導入
  • 商談トレーニングでAIが想定質問を出すシミュレーション機能を提供
  • 立ち上がり期間が従来の半分に短縮

アップデートフェーズ(改善ループ)

  • 「この質問はAIが誤答した」「新しい競合製品情報を追加してほしい」など現場からフィードバックを収集
  • 月次でAIナレッジを更新・再学習し、常に最新情報にブラッシュアップ
  • 改訂履歴を管理し、ナレッジの陳腐化防止サイクルを構築

ポイント

ナレッジは「作って終わり」ではなく、現場の声を吸い上げてアップデートし続けることで進化します。

AIエージェントを「使われるだけの存在」から「成長するパートナー」に育てるためにも、

  • 定期的なフィードバック会議
  • ナレッジ更新の担当者(オーナー)設置

成長する構造を作り出すことが求められる

AIエージェント導入のゴールは「置き換え」ではなく、「進化する仕組みの構築」にあります。

ナレッジを与えられたAIが、現場のフィードバックによって日々アップデートされ、精度と応用力を高めていく構造が求められます。

「AIが仕事をする → フィードバック → 改善 → 再学習」という 成長サイクル を組み込むことが、真の業務改善につながります。

社内でPDCAを回せる仕組みや、AIエージェントの 「育成担当者」 を置くことで、日々進化する業務体制が構築されます。

たとえば、営業ナレッジを動画やQ&AでAIに学習させただけでは、いずれ 内容が古くなり、現場にフィットしなくなる という課題に直面します。

解決策:「自己成長ループ」の導入

現場の フィードバックナレッジ更新再学習 というサイクルを設けたことで、次の効果が得られました:

  • 時代や商品に合わせて 常に情報が進化
  • 利用者の声が反映され、納得度の高いAI支援を実現
  • 教える人が変わっても 質が落ちない
DXや従来の自動化との違いは?
項目 従来の自動化 一般的なDX AIエージェント活用による進化型DX
対象 単純作業・定型処理 業務プロセスの可視化・効率化 思考や判断・学習を伴う知的業務
運用 一度作れば終わり システムは変えるが人は変わらない 人とAIが共に学び、変化に適応し続ける
成果 作業スピード向上 業務全体の最適化 組織知の蓄積と人材育成効果を同時実現
本質 業務の“省力化” プロセスの“再構成” “進化する仕組み”の構築と内製化文化

ポイント

成長するAIエージェントとは、

  • 知識を蓄積するだけでなく、
  • 現場で活用され、
  • フィードバックで改善され、
  • 再び現場に戻ってくる

これが 共進化サイクル(Co-Evolution Loop) を備えた存在です。

これにより、業務改善が「単なる効率化」から「組織学習と成長のドライバー」へと進化します。

おわりに

AIエージェント導入は「テクノロジーの導入」ではなく、「組織と人の働き方を変えるプロジェクト」です。

最初から完璧を目指さず、小さく始めて、試して、学んで育てていくことが成功のカギです。

これからも当社では、現場に根ざしたAI活用を推進してまいります。