Blog

減税=バラマキではない|5兆円は「失われた30年」脱却のための戦略投資である理由

今の日本に必要なのは、教科書通りの「財政規律」ではなく、未来を勝ち取るための「戦略的な投資」ではないでしょうか。

現在、選挙の大きな争点となっている「食料品消費税ゼロ(5兆円規模の減税)」について、多くの専門家からは「財源がない」「バラマキだ」「将来へのツケだ」といった批判の声が聞こえてきます。

しかし、経営的な視点、そして「システム思考」でこの事象を捉え直すと、そうした議論が「木を見て森を見ず」の状態に陥っていることが見えてきます。

あえて断言しますが、この5兆円は単なるコストではありません。日本経済が「失われた30年」から脱却するための、破格の「バーゲン(安値)」であり、必要な「ブリッジファイナンス(つなぎ資金)」なのです。

今日はその理由を、4つの視点から紐解いていきます。

01

「穴の開いたバケツ」ではなく、家計へ直接注水せよ

これまでの経済対策(金融緩和や企業への補助金)は、いわば川の「上流」への投資でした。「銀行や大企業にお金を流せば、いずれ家計にも届く(トリクルダウン)」と信じられてきましたが、現実はシステム思考でいう「漏れのある循環」でした。

内部留保というダムに貯め込まれ、

海外投資家への配当として国外へ流出し、

結果として、私たち国民の喉は乾いたままでした。

対して、今回の「食料品減税」は、家計という「末端」に直接、資金を注入する策です。食料品は国内自給率や国内流通の比率が高いため、地域のスーパー、物流、生産者へと、確実に国内でお金が回ります。

これは「水漏れ(海外流出)」が最も少ない、極めて投資対効果の高いルートなのです。

02

「死の谷」を越えるためのブリッジファイナンス

ビジネス、特にスタートアップの世界には「死の谷(デスバレー)」という言葉があります。新しいモデルに移行する際、一時的に収益が悪化する期間のことです。

今の日本経済も、まさにこの谷にいます。

Before: デフレ・低賃金経済

After: インフレ・高賃金・高付加価値経済

Current(谷): 物価は上がったが、賃金が追いついていない一番苦しい時期

この谷底で国民が疲弊し、消費をやめてしまえば、日本は元のデフレに逆戻りです。

そうならないために、未来の収益(成長)を見越して、あえて借金をしてでも橋を架ける。これが「ブリッジファイナンス」としての5兆円減税の本質です。

03

「360兆円」を守るための保険料

なぜそこまでする必要があるのか? それは守るべきものの規模が違うからです。

日本のGDP(約600兆円)のうち、約6割にあたる「360兆円」は個人消費です。これが日本経済のメインエンジンです。

もし「財源がもったいない」と言って減税をケチり、インフレで消費マインドが冷え込めば、この360兆円のエンジンが故障します。

その損失は計り知れません。

「360兆円という巨大な市場を守るための保険料が、たったの5兆円(わずか1.4%)」と考えれば、これほど安い買い物はないはずです。

04

名目と実質のギャップを埋め、「価値創造」へシフトする

最後に、この政策のゴールについてです。ここで重要になるのが「名目賃金」と「実質賃金」の違いです。

名目賃金: 給与明細の額面(今は上がっています)

実質賃金: 実際に物が買える量(インフレに負けて下がっています)

企業がAIやDXで生産性を上げ、自力で「実質賃金」をプラスにするまでには、どうしても「あと2年」程度のタイムラグが必要です。

この2年間、減税によって無理やり「実質的な購買力」を底上げし、時間を稼ぐ。

その間に企業は、AIを単なるコスト削減(リストラ)に使うのではなく、「新たなサービスの創造」や「体験価値の提供」に投資し、稼ぐ力を抜本的に変える。

この「2年間の猶予」こそが、今回の減税で私たちが手に入れる本当の商品なのです。

05

なぜ今、「減税」が必要なのか?

この2つの概念を組み合わせると、今回の減税策の「正体」が見えてきます。

今の日本は、「名目賃金(数字)」は上がっているのに、「実質賃金(生活)」は追いついていないという、一番苦しいフェーズにいます。

企業がAI導入などで生産性を上げ、本格的に「実質賃金」がプラスになるまでには、どうしてもあと数年かかります。

放置した場合:

実質賃金マイナスの苦しみに耐えられず、家計が財布を閉じる → 企業の売上が減る → 名目賃金も下がる(デフレ逆戻り)。

減税(ブリッジ)を入れた場合:

減税分が「実質的な所得」を底上げする → 家計が消費を続ける → 企業の売上が維持される → 2年後に企業の生産性向上が追いつき、本当の賃上げが完成する。

つまり、5兆円の減税は、「名目賃金が実質賃金を追い越すゴールテープ」にたどり着くまでの、ランナー(国民)への給水なのです。ここをケチってランナーが脱落しては、レース(経済成長)自体が成立しません。

結論:リスクを取らないことが最大のリスク

専門家たちは「5兆円の借金が増えること」を恐れています。

しかし私は、「5兆円をケチって、日本経済復活のラストチャンスを逃すこと」のほうが、よほど恐ろしいと感じます。

これは、負けても軽傷(借金微増)、勝てば総取り(経済再生)の「分のいい賭け」です。

投資の観点で見ると、この「賭け」は非常に有利です。

ダウンサイド(失敗した場合):

最悪でも「5兆円の借金が増える」だけです。国の借金1300兆円が1305兆円になる誤差の範囲です。

アップサイド(成功した場合):

「賃金と物価の好循環」が完成します。名目GDPが成長し始めれば、税収は自然増し、過去の借金の実質的な負担感(対GDP比)はインフレによって目減りします。

「負けても軽傷、勝てば総取り」。これほど分がいい勝負(バーゲン)を、今の日本が見送る手はありません。

目先の帳尻合わせではなく、未来への戦略投資として、この「バーゲン」を賢く使い倒すべき時が来ているのではないでしょうか。

LINE
FORM
TEL

GROWUP OFFICIAL STAFF RECRUIT

グローアップ公式スタッフリクルート

グローアップ公式
スタッフリクルート

Entry LINE
Entry FORM
Entry TEL