物事の表面的な捉え方、もうやめにしませんか?


人々が主義や主張を表明することは結構ですが、受け手のユーザは、全ての発信者にはポジションがあり、一方的な視点の情報が多いということを忘れてはいけません。
“石破首相、お米高騰の中「世界に日本米を提供」発言に「的外れにも程がある」国民大激怒”この記事に対してレビュー記事を作成します。
本当にそうでしょうか?少なくとも全ての国民が怒っていることはありえないのです。
目次
現在のお米の高騰問題を紐解く、何故?お米の価格は2倍近く跳ね上がっている?


2025年の米価格高騰は、以下の複合的な要因によって引き起こされています。
・気候変動による不作:2023年の猛暑により、米の品質と収穫量が大幅に減少しました。
・生産コストの上昇:肥料、燃料、人件費などのコスト増加が、作付け量の減少と農家の負担拡大を招いています。
・在庫不足:2024年6月末の在庫が過去25年で最低水準となり、市場流通量が減少しました。
・需給バランスの崩壊:需要が供給を上回る状況が続いています。
・流通業者の「先食い」:不足を見越した早期買い付けが連鎖し、相場が加熱しています。
・投機的な買い・転売:異業種や投資目的の買いが一部で発生し、価格上昇の要因となっています。
これらの要因が重なり、米価格が2倍近く跳ね上がる事態となっています。
そもそも米価は今までが適正だったのか?農家の時給は100円以下


農家の収益構造を見ると、米の販売価格が消費者価格の半分以下であることが多く、農家の収益は非常に低い水準にあります。
2023年のデータでは、個人経営体の米農家の時給は平均63円と試算されています。
このような状況では、農業の持続可能性が危ぶまれます。
流通構造の見直しや中間マージンの削減が必要です。
さらに、農業従事者の高齢化と後継者不足が深刻な問題となっています。
農業従事者の平均年齢は67.8歳に達し、65歳以上の割合が70%以上を占めています。
若者の新規就農者数も減少傾向にあり、農業の担い手不足が顕著です。
これらの要因により、耕作放棄地の増加が進んでいます。
2015年には耕作放棄地の面積が42万3,000haに達し、年々増加傾向にあります。
耕作放棄地は農地としての質の低下や周辺環境への悪影響を引き起こし、農業全体の生産性低下につながっています。
アメリカは米に700%の関税を掛けられていると主張


アメリカは、日本の米に対して700%の関税が課されていると主張しています。
これは、日本の農業保護政策の一環として設定されたものであり、国際的な貿易交渉の中で議論の的となっています。
ミニマム・アクセス(Minimum Access、MA)とは、1993年のGATTウルグアイ・ラウンド農業合意に基づき、日本が海外から最低限輸入しなければならない農産物の数量枠を指します。
日本では、主に米が対象となっており、年間約77万トンの輸入が義務付けられています。
ミニマム・アクセス(MA)枠を超えて日本に米を輸入する場合、1キログラムあたり341円の関税が課されます。
アメリカ産の米1kg当たりの売価は734円そのうち関税は、341円ですから関税率は700%とはいかなくとも、100%以上となります。
自動車や鉄鋼に25%の関税を米国はかけると言っていますので、相互関税とすれば均等は取れていません。
この制度は、国内農業を保護するために高い関税を維持しつつ、国際的な貿易自由化の流れに対応するために導入されました。
ミニマム・アクセス米(MA米)は、主に加工用や飼料用、海外援助用として利用されており、主食用としての流通は制限されています。
日本政府は、国内農業の保護と国際貿易のバランスを取るため、関税政策の見直しを検討する必要があります。
農家・消費者・諸外国(特にアメリカ)を納得させる計画を立てよう、根本的な解決方法の提示


何故、米価が急激な高騰を見せたのか?
農政の失敗・長年にわたり米食文化の低迷による国内需要の減少、近年の和食浸透による諸外国からの需要の増加、天候不による不作などです。
米価高騰の問題を根本的に解決するためには、以下のような構造的改革が必要です。
流通経路の見直し
・中間マージンを削減し、農家の収益を向上させる。
消費者意識の改善
・新米至上主義を辞め、古米・古古米・新米と売価の違いを受け入れる。
・安価な外国産を受け入れる。
海外市場への直接販売
・ブランド化を進め、農家が直接海外の消費者に販売する仕組みを構築する。
・ビジネスの持続可能性を高める
輸入と輸出のバランス
・日本のブランド米は外貨を獲得するための戦略的な商品として位置付け、主食は外国産も含め多様性を持たせる。
食料自給率upの施策
・ローカルな耕作放棄地の有効活用。
・アグリビジネスの活性化、農業教育ビジネス、都市型近郊栽培へ投資。
生産方法の研究:年1収穫ではなく、年4回収穫できる方法を考える


需給に合わせた生産方法の研究開発
例えば、パソナグループは東京・大手町の本社ビル内で「アーバンファーム」と称し、水田を含む約300種の植物を栽培しています。この施設では、LED照明や空調設備を活用し、都市部のオフィスビル内での農業生産を実現しています。
特に、データセンターの排熱を活用することで、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減が期待されます。
〇五月雨式植生による収穫スケジュールの最適化
五月雨式とは、収穫時期を基準に逆算して、複数の区画で植え付け時期をずらす手法です。
これにより、同一施設内で異なる生育段階の稲を同時に管理することが可能となり、収穫・出荷のタイミングを分散させることができます。
この方法は、以下のような利点があります。
需給バランスへの対応:市場の需要に応じて収穫時期を調整することで、過剰在庫や品薄を防ぎます。
労働負荷の分散:収穫作業が集中せず、労働力のピークを平準化できます。
設備稼働率の向上:施設内の栽培設備を年間を通じて効率的に活用できます。
都市部のビル内で農作物を生産することは、消費者にとって農業を身近に感じる機会を提供し、農業への参加人口を増やす可能性があります。
都市農業は、都市住民に新鮮な農産物を供給するだけでなく、農業体験や交流活動の場を提供する役割も果たしています。
また、都市農業は地産地消を促進し、輸送距離の短縮による環境負荷の軽減や、災害時の食料供給の確保など、多面的なメリットがあります。
このように、都市部での農業活動は、消費者の農業への理解を深め、参加を促進する有効な手段となり得ます。
まとめ
・米価高騰の問題は複数の要因が絡んでいる
・それぞれの視点を理解することが大切(消費者・農家・流通業者・諸外国)
・外国に米を売ることが別に国民全員が怒っていない
・農政の構造的な問題を国民全員で考える必要がある
・問題を表面的に捉えると別の問題が発生するということ
例に挙げた改革を通じて、農業の持続可能性を確保し、消費者と生産者の双方が利益を享受できる社会を目指すべきです。