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2024.12.12

お金の歴史、日本と世界

通貨の基本的な機能:そもそもお金とは何だろうか?

私たちの生活に深く根付いているお金ですが、その本質的な機能は以下の3つに集約されます。

価値の尺度として

商品やサービスの価値を統一的に表現できます。
例えば、おにぎり一個120円、電車賃250円というように、異なるものの価値を同じ物差しで測ることができます。

交換の媒介として

直接的な物々交換では、互いのニーズが一致する必要がありました。
お金があることで、一旦価値を保存し、必要な時に必要なものと交換できます。

価値の保存として

今日稼いだお金を明日使うことができ、将来の取引のために価値を保存できます。

通貨の起源:物々交換から仮想的な価値へ

興味深いことに、通貨は最初から「仮想的」な存在でした。

世界の場合

メソポタミア文明:穀物や家畜が価値の基準

中国:貝殻(貝幣)から青銅貨幣へ

ヨーロッパ:貴金属による価値保証

日本の場合

古代ではが実質的な通貨として機能

奈良時代には布や絹も貨幣として使用

和同開珎(708年)が日本最古の本格的な貨幣

何故、古代中国では貝の貝殻(タカラガイ)が通貨として使用されたのでしょうか?

腐食性・運搬可能性・非破壊性など機能的な価値

祭祀用具や装飾品としてすでに流通していた

数量管理や取引の単位として扱いやすかったこと

これにより、価値の保存・交換の媒介・価値の尺度が可能だったことが挙げられます。
」という感じが財物や貨幣といった漢字に使用されているのもこのような歴史的な背景があるからです。

古代ローマでは兵士への給与として塩が支給されていた時期があり(これが給与を意味する”salary”の語源とも言われています)、地域や時代によって最適な通貨の形態はあると考えられます。

貨幣制度の初期の日本では貨幣がなかなか流通せずに、新たな制度が設けられて事例があります。

富豪制度

奈良時代に実施(和銅年間:708-715年)

一定額の貨幣(銭)を保有する者に官位を評価

蓄財による社会的地位の獲得が可能に100貫で富豪、1000貫で従八位下、1000貫で従七位下など段階的に綬爵。

このように社会変革の過渡期には、なんらかのインセンティブ設計が必要かもしれませんね。

兌換制度から不換紙幣制度という転換点

兌換幣制度は、通貨の歴史における重要な転換点となりました。

金本位制時代

紙幣は金との交換が保証された「約束手形

通貨の価値は金という実物資産に裏付けられていた

国際的な信用の基準として機能

現代の不換紙幣制度

1971年のニクソンショックで金本位制が終焉、ドルと金を交換できる基軸通貨として、第二次世界大戦後、君臨していましたが、その体制を破壊、国家による信用と経済力が通貨の価値を保証することで新たな体制へ移行しました。

これにより柔軟な金融政策が可能になり、その後ドル円相場は、変動性となっていきます。

デジタル時代の通貨と未来展望

現代では、お金の形態が再び大きく変化しつつあります。

現在進行中の変化

暗号資産(仮想通貨)の台頭、Bitcoin10万ドルを突破しています。

各国のCBDC(中央銀行デジタル通貨)開発

キャッシュレス決済の普及

未来の可能性

国際送金の即時化・低コスト化

プログラマブルマネーの実現

新しい経済圏の形成

物々交換は戻ってくるのか?

興味深いことに、デジタル技術の発展により、ある意味で「高度な物々交換」が可能になりつつあります。

シェアリングエコノミーの発展・ポイント経済の拡大・直接取引プラットフォームの普及などで、お金を介さず物と物、モノやサービスとの交換が可能となっていきます。

今の段階では、これは従来の物々交換とは異なり、デジタル技術とお金という「共通価値尺度」があってこそ実現する新しい形態といえるでしょう。

しかし、これまでの「共通価値尺度」としてのお金には、実は大きな限界があります:

従来の貨幣経済の限界

個人にとっての主観的な価値を十分に反映できない

お金をかけられない価値(思い出、感情の価値など)が存在する

文化的・社会的進歩による価値の違いを無視しがち

一例を挙げると、小学5年生の子供にとって500円は大きな価値と感じますが、一般的な成人にとって500円は微々たるものと感じています。

同じお金、硬貨でも置かれている立場にとって、価値は変化するのです。

デジタル時代における新しい可能性

多次元的な価値評価システムの実現

個人間取引の新たな展開

価値の個人差を活かしたマッチングシステム

コミュニティ内での独自の価値交換システム

非金銭的価値(時間、スキル、経験など)の直接取引

「共通価値尺度」から「価値の多様性を認める社会」へ

確かに、お金という「共通価値尺度」は、取引の効率性を高める上で重要な役割を待ちきっていました。

しかし、それだけは通貨の価値は社会に必要がなくなる時期がくるのかもしれません。

今後、個人やコミュニティごとの多様な価値観を認め合い、それぞれの平和に応じた取引を可能にするシステムが、技術的に実現可能になりつつあります。

人生で何を成し遂げたいのかで、必要なお金の量が変化します。

お金は目的ではなく自分らしい人生を充実させるための手段なのです。
その目的を果たす際に通貨が必要無くなれば、おのずと現行の貨幣制度は淘汰されていきます。

ただし、コミュニティごとの物々交換のプラットフォーム化が進めば、消費税や企業の法人税での税収が低下する可能性があります。

この方向性に進めば、国家運営は、小さな政府を目指さるえませんので、社会制度にすら影響を与えるでしょう。

例を挙げると、給与50万円の世帯が、支出に45万円使用した場合、40909円程が消費税への支払いつまり税収です。

メルカリなどで個人間の売買や今後現れるであろう物々交換・モノとサービスを交換できるプラットフォームを利用し、その支出のうち20万円分を利用した場合、45-20で25万円分の消費税の支払いということになります。
22727円ですので、差し引き18181円ほど税収が下がることになります。

プラットフォームごとのコミュニティ通貨が活性化すればするほど、国家財政は税収減ということになります。

まとめ

国家がお金を社会へ浸透させた理由は、お金によって社会効率を向上させること

モノを流通させること、分業制を進めること、国家が税収を得るに、何かと都合がよかったことなどが挙げられます。

デジタル化の進展によって、現行の通貨制度が変化・深化していけば、国家財政そのものを変化しなければならないという社会変革時代へと突入するでしょう。

◎新たな社会システムの展望

現行の貨幣経済から新しい価値交換システムへの移行は、単純取引手段の変化ではなく、社会構造全体の変革を意味します。

より個人の価値観を重視する社会となります。

コミュニティベースの経済活動

効率的で小規模な政府

新しい形の相互扶助システム

上記の実現につながる可能性があります。この変革は、人類社会の次なる発展段階として認識できます。

お金からの社会的な変革は、人類社会において次のステージと言えるでしょう。