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地域によって食文化は変わる【チキン南蛮編】

私たちが「当たり前」だと思っている味やスタイルも、地域が変わればガラッと違う――。

今回は、日本人におなじみのチキン南蛮をテーマに、食文化の地域差をのぞいてみましょう。

チキン南蛮の発祥とその定義

チキン南蛮は昭和30年代後半(1960年代)、宮崎県延岡市が発祥とされています。

元祖とされるのは洋食店「直ちゃん」で、当初は甘酢をくぐらせた鶏唐揚げにタルタルはかかっていませんでした。

その後、延岡市のお店「おぐら」がタルタルを加えたことで、現在のスタイルが確立されました。

唐揚げに南蛮酢(甘酢)をくぐらせ、さらにタルタルソースをかけるのが王道スタイルです。

つまり本場の定義では、「甘酢ありき」の料理なのです。どちらかというと、タルタルが後からなので、タルタル抜いても甘酢を抜くな、という声が聞こえてきそうですね。

甘酢をかけない地域がある。本当のチキン南蛮の味を知ってほしい

ところが全国に広まる過程で、甘酢を省略した「タルタル唐揚げ」型が定着した地域もあります。

確かにタルタルソースだけでも美味しいのですが、それだけでは「南蛮」の本質が伝わりにくいこともあります。

本場・宮崎で食べると、甘酢が鶏肉にしっかり染み込み、タルタルの濃厚さと甘酸っぱさが絶妙に調和します。

この「甘酢が生み出す奥行き」こそが、チキン南蛮の真骨頂です。

だからこそ、一度は本場の味を体験してほしいと強く思います。

お弁当チェーンでの比較

  • HOTMOT(ほっともっと):甘酢+タルタル、本場寄りの味
  • ほっかほっか亭:九州は甘酢あり、大阪はタルタルのみ
  • オリジン弁当:タルタル中心、甘酢はほとんどなし
  • かまどや:甘酢なし、タルタル唐揚げ型

同じ「チキン南蛮弁当」でも、地域やチェーンによってまったく別物になるのです。

※ほっかほか亭は、同じチェーンでも地域差があります。これはフランチャイズ形式で全国展開したため、提供方法に違いが生じるからです。いわば「唐揚げに小袋で何を添えるか問題」と通じる部分ですね。

HOTMOTは九州発祥の企業だけに、チキン南蛮の味付けには強いこだわりがあるのでしょう。前身はほっかほか亭のフランチャイジーで、買収問題の経緯もあり、ここでも譲れない部分が見えるのです。

引越先で食文化が違うと、そんな気はなくともカスハラを

九州から関西に引っ越した人が、チェーン店で「甘酢が入っていない!」とクレームを入れてしまう…。 実はこれ、店側からすれば“カスタマーハラスメント”に見えることもあります。

カスハラにならずとも、グーグルマップの評価で「甘酢がなかった」と書いてしまうケースも。 九州の人が見れば「ひどい店だ」、地元の人が見れば「当たり前では?」と感じる…。 食文化の違いを知らないと、“当然の味”が通じずにトラブルの種になることもあるのです。

チキン南蛮は、まさにそんな食文化ギャップの象徴的な料理。 九州から関西へ転勤する際には、「チキン南蛮に甘酢はかかってないし、肉まんを買ってもポン酢はついてこないよ」と一言伝えておくと安心です。

まとめ

チキン南蛮は「甘酢あってこそ」の料理。 全国に広がる中で姿を変えたからこそ、本場の味を知ることに意味があります。

引っ越し先や旅行先で食べるチキン南蛮は、驚きや戸惑いをもたらすかもしれません。 でもその違いこそが、食文化の奥深さを教えてくれるのです。

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