ポジティブな心のポジションですべてが解決する。


ネガティブな問題解決だけでなく、ポジティブな心の在り方を育む「ポジティブ心理学」。
この考え方を日常や職場に取り入れることで、心の状態が循環し、組織や個人のパフォーマンスも自然と高まっていく可能性があります。
本記事では、ポジティブ心理学の基本理論「PERMAモデル」と、実践に役立つエクササイズをご紹介します。
目次
ポジティブ心理学とは?キー理論:PERMAモデル


📘 ポジティブ心理学の基本定義
定義: ペンシルベニア大学のマーティン・セリグマン教授が1998年に提唱した心理学の潮流で、 人間の“健全な状態”に注目し、 科学的に幸福やウェルビーイングを研究する学問です。
従来との違い: 従来の心理学が“病や欠点”に焦点を当てる一方で、 ポジティブ心理学は“強みや幸福”を見つけ、 その成長や活用を重視します。
セリグマンが提唱した「PERMA」は、ウェルビーイング(well‑being)を構成する5要素の頭文字です
🔑 PERMAモデル|5つの幸福要素
-
P:Positive Emotion(ポジティブな感情)
→ 喜び、感謝、興味など、前向きな感情を積極的に感じること。 -
E:Engagement(没入・やりがい)
→ フロー(集中・没入体験)の状態に入り、活動に深く関わる。 -
R:Relationships(良好な人間関係)
→ 仲間や家族との支え合いが、幸福感を支える重要な土台に。 -
M:Meaning(人生の意味・意義)
→ 自分の人生や仕事に“なぜそれをするのか”という意義を見出す。 -
A:Accomplishment(達成感)
→ 成果や成就、自分の成長を実感すること。
これら5要素は相互に補強し合い、不足している要素があると全体のバランスが崩れやすくなるとされています 。
ポジティブ心理学と親和性の高い「ジョブクラフティング」


ポジティブな心のポジションを職場で循環させる一環として、ジョブクラフティング(job crafting)は非常に有効です。
これは、「自分が働く環境や役割を主体的に再設計する」ことで、仕事へのやりがい・意味・モチベーションを高める手法です。
📌 ジョブクラフティングの3つの視点(厚労省の整理)
- 作業クラフティング: 日々の“やり方”や業務内容を工夫し、自らに合ったタスク構成に変える
- 人間関係クラフティング: 業務上のコミュニケーションや関わり方を調整し、人間関係の質を向上させる
- 認知クラフティング: 仕事に向き合う“捉え方”を自ら変えて、意味づけを高める
理論の背景・効果
ジョブクラフティングは、従業員が主体となって仕事の内容・関係・意味を再調整することで、心理的なウェルビーイングや仕事満足感、エンゲージメントの向上につながります
ポジティブ心理学的視点では、「ポジティブ感情→挑戦タスクへの積極性」が、構造的資源や社会的資源の獲得につながると示唆された研究もあり、まさに「感情の好循環」が物理面でも広がるモデルです 。
PERMAのE(没入感)やM(意味)に直接リンクし、仕事そのものが幸福につながる設計へと進化します。
感謝やポジティブ感情が増すと、それに伴って“チャレンジ志向”が高まり、クラフティングへの意欲が高まる“感情の拡張効果”も期待できます 。
日常でできる実践エクササイズと職場での生かし方


✅ 日常編|ポジティブ感情を育てる4つの習慣
- 「3つの良いこと」: 1日3つ、自分でよかったと思う出来事とその理由を紙に書くことで、ポジティブ感情が育まれます。
- 感謝の手紙: 「ありがとう」を伝えたい相手に手紙を書いて渡すことで、感謝の気持ちが深まり、幸福感を強化。
- ストレングスの活用: 「強み」を見つけ、意識的に活かすことで、没頭・達成感・幸福感が高まります。
- フロー状態の探求: 時間を忘れるほど没頭できる瞬間を振り返り、それを増やすよう工夫してみましょう。
🧭 職場編|感情と行動の好循環を生み出す工夫
- タスクの「見直しと再構成」: 得意な業務を増やしたり、マンネリ化したタスクの改善などでやりがいを強化します。
- 関係性のデザイン: 支援を得やすい関係を増やし、ムダな会議や一方通行のやり取りを減らしましょう。
- 仕事の意味を問い直す: 「なぜこの仕事が大切か?」を再定義し、意義を明確にするとモチベーションが安定します。
🌱 組織での応用イメージ:
- ミーティングの冒頭で「良かったこと」を共有する
- 互いの「強み」を認め合うカルチャーを育てる
- 目標設定を“達成感”を得られる小さなステップに分けて設計する
→ 結果的に、チームの信頼感・モチベーションが向上し、離職率の低下も期待できます。
なぜすべてが解決に向かうのか?


🔁 ポジティブ感情が生む好循環サイクル
ポジティブ感情 → 自信や余裕 → 積極行動・学び → 成果 → さらなるポジティブ感情
このように「前向きな感情」は、自己効力感を高め、行動や学びにつながり、
成果とともにさらに感情が育まれる“好循環サイクル”を生み出します。
これは、書籍『幸せの9つの習慣』でも紹介される“成功よりも先に幸せを育む”理論にも通じています 。
ポジティブ心理学は単なる“前向き思考”ではなく、科学的根拠に基づいた、継続可能な心の在り方を学ぶ道具です。
今日ご紹介したPERMAモデルと実践エクササイズは、まず“心のポジション”を整える”きっかけ。
ポジティブ心理学のPERMAモデルと「ジョブクラフティング」を組み合わせることで、感情・意味・行動が共鳴し合い、日々の仕事が自然に“好循環”のサイクルに包まれていきます。
「私はどう仕事をクラフト(手づくり)していきたいか?」という問いから始めてみてください。
気軽に取り組んでいただき、心の循環がオフィスや暮らしに自然に根付いていくことを願っています。