18歳未満の方はコチラから退場ください。
2025.06.12

労務管理に活かせる4つの組織論

「人が辞める」「人が育たない」「人がついてこない」――

そんな職場の悩みを根本から見直したいとき、参考になるのが組織論や動機づけ理論です。

単にルールを決めたり、給与を上げたりするだけでは解決できないのが”の問題。

だからこそ、「なぜ人は働くのか?」「どうすれば納得して動くのか?」という問いに向き合う必要があります。

今回は、現代の労務管理にも役立つ4人の組織論者の思想を紹介し、それぞれの理論がどのように現場で活かせるかを解説します。

チェスター・バーナード「協働意思」と「受容の条件」

すでにご紹介したバーナードの理論は、「人は命令で動くのではなく、“納得”で動く」という点に本質があります。

共通目的協働意思意思疎通の3要素により、人間的な組織運営を重視する理論です。

現場での活用ポイント

指示ではなく、理解と共感を得るコミュニケーション

感情のつながりを育む職場環境づくり

「なぜそれをするのか?」という目的の共有

ダグラス・マグレガーのX理論・Y理論

マグレガーは、管理者が部下に対して持つ前提として、2つの考え方を示しました。

理論 特徴 管理スタイル
X理論 人は本来怠けるものであり、監視と強制が必要とされる。 トップダウン、命令管理型
Y理論 人は本来仕事にやりがいを見出し、自主性を持って働く。 自律・参加型マネジメント

現場での活用ポイント

部下を「信じて任せる」ことで能力が引き出される

エンゲージメントの高い組織は、Y理論型が多い

あなたの管理スタイルはX?Y?と内省する材料にも

フレデリック・ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」

ハーズバーグは、満足と不満は別の要因によって起こると説きました。

要因 内容
衛生要因(不満を防ぐ) 整っていないと不満になるが、整っていても満足にはならない 給与、労働環境、福利厚生
動機づけ要因(満足を生む) あると人はやる気になる 達成感、承認、成長の機会、責任感

現場での活用ポイント

給与UPだけでやる気は出ない

成果を認め、成長の機会を与えることがやる気を生む

「満足」を生むには、内発的動機へのアプローチが必要

クリス・アージリスの「未熟→成熟モデル」

アージリスは、人間が組織の中で「未熟な存在から成熟した存在へと成長していく」ことが重要だと説きました。

発達段階 特徴
未熟 依存的、受け身、反応的
成熟 自律的、積極的、創造的

現場での活用ポイント

指示待ち社員を育てるのではなく、「考えて動く人材」に育てる

「裁量を与える」ことが、成長への第一歩

教育・評価・任せ方の見直しが必要

まとめ|理論を知ることで、現場が変わる

理論家 キーワード 主な貢献
バーナード 協働意思・受容の条件 人間的な組織構築
マグレガー X理論・Y理論 管理者のスタンスを問い直す
ハーズバーグ 衛生・動機づけ要因 モチベーション設計
アージリス 成熟モデル 成長支援と自律型人材育成

これらの理論は、どれも机上の空論ではなく、人を理解し、組織を強くするための実践知です。

人が辞めない組織」「人が育つ職場」「人が協力するチームを作るには、まず人間理解から始めてみませんか?