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2025.08.11

経験価値マーケティングとは?顧客の心を動かす体験設計と実践方法

記憶に残る体験」が、次の来店をつくる。

価格や機能で差がつかない時代――。

選ばれる理由は、「そのとき、どんな気持ちになったか」

戦略的経験価値マーケティング(Strategic Experiential Marketing)は、顧客の心を動かす体験設計を、現場に実装するためのフレームワークです。

今回はそのモジュール設計から、現場スタッフの「ものさし」を変えるまで、実践的なステップを交えてわかりやすく解説します!

参考:

以下は本稿で参照した主要文献の要点です。実務設計やモジュール化の参考になります。

戦略的経験価値マーケティングのモジュール設計

本稿では、B.シュミットの「5つの経験モジュール(SENSE/FEEL/THINK/ACT/RELATE)」を実装ガイドの核にしています。

B.ジョセフ・パイン & ジェームズ・ギルモア

The Experience Economy(1999)—
体験を価値化する視点は、経験価値設計の理論的出発点です。

B.シュミット(Bernd H. Schmitt)

Experiential Marketing(1999)—
SENSE/FEEL/THINK/ACT/RELATE の5モジュールは、現場実装の実践的フレームになります。

経験価値とは何か?

これまでのマーケティングは「機能」「価格」、つまりスペックとコスパで差別化するのが主流でした。

しかし今、顧客が本当に選ぶ理由はその商品・サービスを通じて、どんな体験をしたかです。

同じカフェでも「自分の気持ちが整う空間だった」「接客で心があたたかくなった」――そんな経験が次の来店を生み出しています。

これが経験価値(Experiential Value)です。

そしてその価値を設計し、意図的に創り出す手法が、今回ご紹介する戦略的経験価値マーケティングなのです。

シュミットの5つの経験価値モジュール

B.シュミットは、経験価値を次の5つのモジュールに分類しました:

モジュール 概要
SENSE(感覚的価値) 五感を刺激する体験 香り、音楽、照明など
FEEL(情緒的価値) 感情を喚起する体験 感動的な接客、感謝の手紙、驚きの演出
THINK(知的価値) 創造性や問題解決を刺激する体験 ゲーミフィケーション、知的発見
ACT(行動的価値) ライフスタイルや行動への働きかけ ワークショップ、スポーツ、DIY体験
RELATE(関係的価値) 他者とのつながり、社会性 SNS連動、コミュニティづくり、SDGs訴求

サービスや商品設計の段階で、「この体験はどの価値を届けているか?」を明確にすることが、ブランディングの第一歩になります。

社内実装する6つのステップ

では、どうすれば自社に経験価値を実装できるのでしょうか?

以下の6つのステップが鍵です。

経験価値マーケティングの6ステップ

番号 タイトル 主な内容 活用例・ワークショップ
1 経験価値とは何か? 経験経済・経験価値の台頭/機能的価値 vs 情緒的価値/ブランド構築との関係 自社商品・サービスにおける「経験要素」洗い出し
2 戦略的フレームワーク シュミットの5つの経験モジュール(SENSE, FEEL, THINK, ACT, RELATE)と活用法 顧客体験マップに5モジュールをマッピング
3 UXとしての体験設計 カスタマージャーニー/タッチポイント設計/CXとEX(従業員体験)の統合 顧客ペルソナごとの体験シナリオ作成
4 感情と記憶のデザイン 感情ラベリング/エピソード記憶/ナラティブマーケティング 感情トリガーを組み込んだ広告・店舗演出設計
5 テクノロジーとデータ活用 感情データ/パーソナライズドUX/AI・IoTを用いた体験強化 顧客感情データをもとにしたサービス改善ワーク
6 戦略と収益化 ブランド体験とLTVの関係/感動体験による顧客創造と維持/ROIの可視化 自社への応用プラン策定とプレゼン

実装したその時、スタッフたちのものさしは何に変わっているのか?

経験価値マーケティングが社内に根づいたとき、スタッフの「基準」「会話」は大きく変わります。

発想の転換 — KPIを「数字」から「感情」へ

「売上を上げる」 「感情を動かす接客ができたか」
「今日は忙しかった」 「今日は何人のお客様と心が通じたか」
「クレームを減らす」 「違和感の芽に気づけたか」

つまり、数値ではなく心の動きが指標になる文化が生まれるのです。

この変化こそが、体験価値をブランドに変える一歩。

「スタッフが日々、お客様の気持ちと向き合い、進化していく現場」こそが、戦略的経験価値マーケティングのゴールなのです。

まとめ|経験価値を設計すれば、ブランドは自然と生まれる

経験価値マーケティングのポイント
  • 価格や機能で差別化できない時代において、顧客の感情と記憶に残る体験を設計するマーケティング手法。
  • 5つのモジュール(感覚・感情・思考・行動・関連性)に沿って提供価値を棚卸することで、サービスの「進化の余白」が見えてくる。
  • 社内実装は「体験の見える化」から始まり、スタッフの“ものさし”を変えることで、日々の行動がブランドそのものになる。

目指すべきは、「売上」ではなく「また来たい」と思わせる体験の連鎖です。