18歳未満の方はコチラから退場ください。
2025.04.21

意思決定の心理を紐解く(第3回)|メタ認知の技術〜自分の思考に気づく“もう一人の自分”を育てる〜

考えている自分を、考える

――この、いわば“もう一人の自分”の存在に気づくこと。

それが メタ認知metacognition)の始まりです。

私たちは、日々の思考を自動で回し、推論のはしごを登り、前提やバイアスに沿って世界を解釈しています。

だが、もしその「思考の自動運転」を外から観察できたら、どうでしょう?

メタ認知とは何か?

メタ認知とは、「自分の認知(思考・感情・判断)に気づき、モニタリングする力」のこと。

簡単にいえば、「自分の頭の中を実況中継できる」ようになる力。

今、自分は何を考えているのか
なぜそう思ったのか
それはどんな前提に基づいているのか
他の見方は可能か
この感情の源は何か?

これらを“内省的に問いかける”ことで、思考のバイアスから一歩距離を取ることができます。

メタ認知がある人 vs ない人

状況 メタ認知が低い人 メタ認知が高い人
会議で意見が通らなかった 「自分は否定された」と決めつける 「なぜそう判断されたのか、意図を聞いてみよう」と思う
ネガティブな感情が湧いた すぐに反応し感情的になる 「今、自分はなぜこの感情を抱いたのか」を一度整理する
成果が出ないとき 自己否定する 思考パターンや戦略を振り返り、軌道修正する

メタ認知を鍛える3つの習慣

①「内省ジャーナル」をつける

1日の終わりに、自分の思考・判断・感情を振り返る習慣。
特に感情が動いた瞬間に注目すると、自動思考のパターンが見えてきます。

記録の例

どんな出来事があったか
それに対して自分は何を考えたか
なぜそう解釈したのか
他の見方はできなかったか?

②「メタな質問」を持ち歩く

思考のフックになる問いを自分に投げるクセをつける。

おすすめの質問

この考えはどこから来た?
今、自分は何に反応している?
他の人ならどう見るだろう?
この感情の“本当の理由”は?

③「他人の思考を翻訳する」練習

他人の発言や行動に対して、すぐに感情で反応せず、「この人はどういう前提でこれを言っているんだろう?」と考えてみる。

これはメタ認知力+共感力のトレーニングになります。

メタ認知は“自分をデバッグする力”

プログラムにバグがあると意図通りに動かないように、私たちの思考にも「バグ」や「偏り」があります。

そのバグに気づき、自分のコードを修正できるのが、メタ認知という力です。

一度それが身につくと、思考の透明度が増し、自己理解も他者理解も格段に深まり、意思決定はより“自分らしい”ものになっていくでしょう。

自分と話す3つの質問 💬

今日、自分が“自動思考”に流された瞬間は?
その時、自分の内面ではどんな解釈や感情が動いていたか?
その解釈を「編集」できるとしたら、どう書き換えるか?

小さな問いかけを繰り返すことで、思考にスペースが生まれます。
今日はほんの少しだけでも、“考えている自分”と対話してみませんか?