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2025.08.01

AIエージェントは誰でも作成可能ですか??

最近、「AIエージェントって誰でも作れるようになったらしいよ」という声をよく耳にします。

確かに、ツールの進化により専門知識がなくてもAIを作ることは可能になりました。

しかし、何を作るかよりも大切なのは、AIエージェントによってどのような知の構造を生み出せるかです。

言い換えれば、「現場の知見や判断基準をどれだけAIに継承・循環させられるか」こそが、業務改善の成否を分けるポイントなのです。

本記事では、「誰でも作れる時代」だからこそ見落としがちな、AIエージェント導入の落とし穴と、成長するナレッジ基盤の構築法を4つの視点からお届けします。

AIエージェントは誰でも作成可能ですか? → YES

はい、AIエージェントは誰でも作成可能な時代になりました。

ノーコードツールやテンプレート、対話式のガイドが充実しており、専門知識がなくても「それっぽいエージェント」は作れるようになっています。

たとえば、以下のようなツールが代表的です:

  • ChatGPTのカスタムGPT(OpenAI)
  • Dify、Flowise などのノーコードLLMツール
  • n8n、Zapier などの自動化ツールとの連携

数時間あればチャットボット型のAIは完成します。

AIエージェントで誰でも業務改善できますか? → NO

残念ながら、AIエージェントを作れる=業務改善できるとは限りません。

よくある失敗例は以下の通りです:

  • 目的が曖昧で「何のためのエージェントか」が不明確
  • 現場の業務プロセスを理解せずに「とりあえず作ってみた」
  • 質問精度や情報の信頼性が低く、使われないエージェントに

つまり、作ることより「使われ続けること」の方が難しいのです。

AIエージェントの本質と業務改善のいろはを抑えること

業務改善にAIエージェントを活かすには、以下の3点を押さえる必要があります。

問題設定:何を改善したいのか?

  • 業務のどこにムダ・属人化・判断の負担があるか?
  • AIが入ることで何が軽減されるか?

ナレッジ設計:何を学ばせるか?

  • FAQ、業務マニュアル、判断基準などの形式知を整備
  • 暗黙知を言語化し、AIが「現場の思考」を模倣できるように

運用設計:どう進化させるか?

  • フィードバックの仕組みを用意し、AIを継続的にアップデート
  • 「育てる文化」を社内に醸成する

この3点が揃ってはじめて、「AIエージェントによる業務改善」が実現します。

優秀なツールでも、使い方を誤ると単なる浪費

AIツールは使い方次第で武器にも浪費にもなります。

たとえば以下のようなケースは、注意が必要です。

ツールの使い方 良い例 悪い例
ナレッジ登録 よくある質問や対応フローを整理してAIに学習 コピペしたマニュアルを丸ごと読み込ませただけ
チャット設計 段階的に選択肢や分岐を設けて丁寧に誘導 「何でも聞いてください」だけの曖昧な設計
フィードバック 利用者から改善要望を収集して再学習 つくって終わり、1年放置

AIは万能ではなく、「設計と運用がすべて」です。

最初に時間をかけて土台を作っておけば、あとで驚くほど効果を発揮します。

ここでいう設計はアプリの設計ではなく、オペレーション上にどう組み込むかということです。

AI×人のハイブリットなオペレーションを追求していきましょう。

AIエージェントは、単なる応答ツールではなく、「組織知を蓄積・共有・進化させるハブ」として設計すべきです。

▼たとえば以下のようなナレッジ循環構造が理想です:

  • 現場の判断や対応ログがAIに蓄積され
  • AIが標準化・整理された対応を再提示し
  • 使うたびにフィードバックが入り
  • さらに現場にフィードバックされる

この循環構造を意識することで、AIは “自動化ツール” から “知的共進化パートナー” へと進化していきます。

おわりに

AIエージェントは確かに誰でも作れます。

しかし、業務改善を実現するには、現場のナレッジをどう構造化し、循環・進化させるかという視点が欠かせません。

その意味で、日本発のナレッジマネジメント理論「SECIモデル」(野中郁次郎・一橋大学名誉教授)を一度学んでおくことを強くおすすめします。

▼SECIモデルとは:

暗黙知と形式知をらせん状に変換しながら、組織的な知識を創造していくプロセスモデル。

S(Socialization/共同化)
現場の経験や感覚を共有
E(Externalization/表出化)
言語化・マニュアル化
C(Combination/連結化)
既存の知識と統合し構造化
I(Internalization/内面化)
教育・実践を通じて再び暗黙知化

このSECIモデルにAIエージェントを組み込むことで、知の進化エンジン”としてのAIを設計できます。

単なる効率化ではなく、現場の学びとナレッジを資産に変える力として、AIを活用していきましょう。