18歳未満の方はコチラから退場ください。
2024.06.25

顧客体験ストーリーで圧倒的な差別化を目指せ!

顧客体験ストーリーとは何か?その作り方

顧客体験(Customer Experience, CX)ストーリーとは、顧客がブランドやサービスとのやり取りを通じて体験する一連の出来事を物語性をもって描いたものです。

これは、顧客の感情や反応を具体的かつ感動的に表現し、企業が提供する価値を明確にするために用います。

顧客体験ストーリーは、顧客の視点からその体験の流れを追い、顧客が感じた感情、思考、行動を詳細に記述します。これにより、企業は顧客のニーズと期待を深く理解し、より良いサービス改善のための洞察を得ることができます。

ここでは、顧客体験ストーリーを作成するためのフレームワークを3つ紹介します。

顧客体験ストーリー作成のフレームワーク その①:カスタマージャーニー

カスタマージャーニー(Customer Journey)は、顧客が製品やサービスを知り、購入して利用するまでの過程をマッピングするツールです。

カスタマージャーニー(Customer Journey)の概念は、マーケティングと顧客体験の管理の分野で発展してきました。この概念は、特定の製品やサービスに対する顧客の経験全体を理解し、それを最適化することを目的としています。

最も初期の形態は、伝統的なAIDAモデル(Attention, Interest, Desire, Action)に遡ることができます。

1920年代には、顧客の購買プロセスが初めて体系的に分析され、マーケティングの手法として取り入れられ始めました。

インターネットの台頭とともに、1990年代から2000年代にかけて顧客の購買行動が大きく変化しました。

デジタルマーケティングの出現により、顧客の行動をリアルタイムで追跡し、個々の顧客に合わせたパーソナライズされたマーケティングが可能になりました。

この時期には、カスタマージャーニーマッピングが重要なツールとして登場し、顧客体験の各接点を可視化する方法が一般的になりました。

顧客体験(CX)の台頭(2000年代 – 現在)

2000年代から現在にかけて、顧客体験(CX)が企業戦略の中心に位置づけられるようになりました。

顧客体験の管理と最適化は、顧客のロイヤリティやブランドへの信頼を高めるために不可欠であると認識されています。

カスタマージャーニーマップは、顧客の経験を全体的に把握し、改善点を特定するための中心的なフレームワークとして広く利用されています。

このフレームワークを使用することで、以下のステップに沿って顧客体験ストーリーを描くことができます。

認識:顧客が製品やサービスに初めて気づく瞬間、およびそのときの感情

検討:顧客が製品を評価し、購入するかどうか検討する段階、およびそのときの感情

購入:顧客が製品を購入するプロセス、およびそのときの感情

利用:顧客が製品を使用し体験する段階、およびそのときの感情

ロイヤルティ:顧客がリピーターになるか、推薦者となる過程、およびそのときの感情

図解を用いてカスタマージャーニーマップを作成すると、視覚的に顧客の旅の流れを把握しやすくなります。

図解の設計ステップ

時間軸の設定

カスタマージャーニーマップは通常、左から右へと時間の流れに沿って描かれます。各タッチポイントを時間軸上に配置します。

タッチポイントの配置

ウェブサイト訪問、製品ページ、カートに追加、チェックアウトといった主要なタッチポイントを図上に明示します。

感情曲線の描画

各タッチポイントでの顧客の感情変化を線または曲線で表します。
感情の高低をグラフ化し、ポジティブな感情は上向き、ネガティブな感情は下向きに展示します。

行動と改善点の注記

各タッチポイントの下または横に、そこでの顧客の行動と改善点を短いテキストボックスで追加します。

図解のビジュアル要素

アイコン

各タッチポイントには、それを象徴するアイコン(例:ショッピングカートのアイコン、クレジットカードのアイコンなど)を配置します。

カラーコーディング

感情のポジティブさやネガティブさを色で表現すると視覚的に理解しやすくなります(例:赤色でストレス、緑色で満足感を示す)。

線と矢印

顧客の進行方向や感情の流れを示すために、線や矢印を用いて視覚的なガイドを提供します。

顧客体験ストーリー作成のフレームワーク その②:コンセプトダイヤグラム

コンセプトダイヤグラムは、顧客体験の各ステージで顧客が持つ感情や要求を視覚化するために使用される図です。

このダイヤグラムは、以下の要素を含めることが一般的です。

コンセプトダイヤグラムを作成する際には、顧客体験の流れを視覚的に表現することが目的です。

ここでは、ある製品の購入プロセスを例に、簡単なコンセプトダイヤグラムを説明します。この例では、製品をオンラインで購入する顧客の旅をマッピングします。

コンセプトダイヤグラムの構成要素

タッチポイント:顧客がブランドと接触する各ポイント

感情曲線:顧客の感情の変動を示す曲線

重要な行動:顧客が各タッチポイントで取る行動

改善点:顧客体験を向上させるための機会

タッチポイント感情の変化重要な行動改善点
ウェブサイト訪問好奇心が高まるキーワード検索検索機能の改善
製品ページ興奮と同時に疑問が生じる詳細情報の確認と比較より詳細な製品情報の提供
カートに追加決断のストレス購入オプションの選択直感的なカートインターフェースの導入
チェックアウト購入完了の満足感支払い情報の入力簡易チェックアウトプロセスの導入

この表を利用することで、顧客が各段階で経験する感情や行動を明確に把握し、顧客体験を向上させるための具体的な改善策を検討することが容易になります。

それぞれのステージで顧客がどのように感じ、どう行動し、どう改善するかが一目でわかるように設計されています。

顧客体験ストーリー作成のフレームワーク その③:コミュニティドミナントロジック

コミュニティドミナントロジック(Community-Dominant Logic)は、顧客体験をコミュニティの視点から捉え直し、共有価値の創造やコミュニティ内での意見交換を強調します。

コミュニティドミナントロジックの特徴

コミュニティを基盤とした価値創造

このロジックは、個々の消費者だけでなく、彼らが属するコミュニティ全体に焦点を当てます。

製品やサービスがコミュニティにどのような価値を提供するかを考え、コミュニティ全体の利益を最大化することを目指します。

コミュニティ参加とエンゲージメントの促進

消費者は単なる製品やサービスの利用者ではなく、価値創造過程のアクティブな参加者と見なされます。

企業は顧客との対話を重視し、彼らの意見やアイデアを製品開発やサービス改善に積極的に取り入れることを奨励します。

持続可能性と社会的責任

企業は経済的な利益だけでなく、環境保護や社会的責任を果たすことにも注力します。

製品のライフサイクル全体で環境への影響を最小限に抑えることや、公正な労働慣行を維持することが求められます。

学習と適応

企業はコミュニティからのフィードバックを学習の機会として捉え、持続的に改善を行います。

この過程では、コミュニティの変化やニーズの進化に敏感であることが重要です。

商品やサービスに対する顧客の感情変化を可視化するのではなく、商品・サービスブランドを共に育てるコミュニティに参画しやすい仕掛けを顧客のタッチポイントとその感情変化にそって、作り上げるもので、行動経済学における“ナッジ”を設定します。

商品やサービスのブランドを共に育てるコミュニティ参画を促進するために、「ナッジ」と呼ばれる行動経済学の手法を活用するアプローチは、顧客がポジティブな行動を取りやすくするための効果的な戦略です。

ナッジとは、人々の選択を制限することなく、特定の行動を促す小さなプッシュやヒントのことを指します。

ナッジの一例:エコフレンドリーな製品選択の促進

タッチポイント:オンラインショップの製品ページ

感情変化:顧客が製品を選ぶ際の興味と責任感

ナッジの設定

デフォルトオプションの設定

顧客が製品を選ぶ際に、エコフレンドリーなオプション(例えばリサイクル可能な包装やカーボンオフセット配送オプション)をデフォルトで選択された状態にします。

顧客が積極的にこれを変更しない限り、より環境に優しい選択が自動的に適用されるため、無意識のうちに環境負荷の低減に貢献する選択を促します。

ソーシャルプルーフの利用

製品ページに「他の多くの顧客がこのエコフレンドリーなオプションを選んでいます」というメッセージを表示します。

これにより、社会的証明と承認の力を利用して、顧客が環境に優しい選択をする確率を高めます。

視覚的なフィードバック

顧客がエコフレンドリーな選択をすると、画面上に即座にポジティブなフィードバック(例えば、「地球に優しい選択をありがとう!」というメッセージや、地球のアイコンが緑色に輝くアニメーション)を表示します。

これにより、顧客の満足感と達成感を喚起し、同様の選択を再び行う可能性を高めます。

このようなナッジは、顧客が自らの選択で環境に優しい行動を取るよう促し、同時にブランドコミュニティの一員として積極的に参加し、ブランドのサステナビリティイニシアティブに貢献する意識を育てます。

これにより、顧客はただの消費者から共同創造者へと変わり、ブランド価値の向上に直接的に関与することになります。

どのフレームワークも顧客の感情に触れること、可視化していくことを仮説・推測することで成り立っています。

これらを組み合わせてマーケティング戦略を立てていきましょう。

THINK!このブログの読みどころ お勧め度4:★★★★☆

このブログは、顧客体験ストーリーとその作成フレームワークを通じて、ブランドと顧客のより深い関係を築く方法に焦点を当てています。

1. 顧客体験ストーリーの基本的理解

ブログは、顧客体験ストーリーが何であるか、そしてそれがなぜ重要なのかについて明確に説明しています。

顧客の感情や行動を物語性を持って描くことの重要性を理解することは、どの業界においても顧客中心の戦略を展開する上で欠かせません。

2. カスタマージャーニーマップの詳細な解説

カスタマージャーニーの概念がどのように発展してきたかの歴史的背景とその現代的な応用について詳しく説明しています。

特にデジタルマーケティングとの関連で、顧客の行動を追跡し、個別化されたマーケティング戦略を設計するための洞察を提供しています。

3. コンセプトダイヤグラムの実用性

顧客の感情や要求を視覚化するコンセプトダイヤグラムの具体的な使い方を説明し、実際のビジネスシナリオでどのように利用できるかを示しています。

これにより、マーケティングプロフェッショナルや製品開発チームが直面する課題に対する解決策を提案しています。

4. コミュニティドミナントロジックの応用

ブランドと顧客が共同で価値を創造するプロセスを強化するためのコミュニティドミナントロジックの説明は、現代の消費者が求める透明性と共感を企業がどのようにして提供できるかについての洞察を深めます。

5. 行動経済学の「ナッジ」戦略の具体例

エコフレンドリーな選択を促進するためのナッジ戦略を例に、顧客の選択をポジティブな方向に微妙に誘導する方法を提案しています。

これは、持続可能な消費行動を促進するための具体的かつ実行可能な戦略を提供します。

全体として、このブログは顧客体験を最適化し、競争優位を確立するための具体的な方法と戦略を提供する貴重なリソースです。

マーケティングプロフェッショナル、プロダクトマネージャー、CXデザイナーにとって特に有益な内容となっています。