理念を浸透させる会社は理念を叶えることができない。理念を共に変え続ける勇気が必要!
企業の成長や成功の背後には、必ず「理念」があります。
理念とは、その会社が存在する目的や、社員一人ひとりが目指すべき指針を示すものです。
理念は企業文化の中心にあり、全員がそれに共感し、共有していることが望ましいとされています。
しかし、その理念がただ形式的に「浸透」しているだけでは、実際の行動に結びつかず、結果として理念を達成することが難しくなってしまう場合があります。
むしろ、理念は固定化せず、変え続けることが必要です。
本ブログでは、理念を単に浸透させるだけでなく、常に進化させ続ける重要性について考えていきます。
理念とは、理想と信念
理念とは、企業や組織が掲げる「理想」と「信念」を示すものです。
企業理念は、その企業が何を成し遂げたいのか、社会にどのような価値を提供したいのかを示す指針であり、社員全員が共有するべき核となるものです。
たとえば、ある企業の理念が「社会に貢献し、持続可能な未来を築く」だとすれば、その理想は社会への貢献であり、信念は持続可能性を重視することです。
理念は、企業の方向性を決めるコンパスのような役割を果たします。
これがなければ、企業は短期的な利益追求に走り、長期的なビジョンを見失いがちです。
だからこそ、理念は企業にとっての「軸」であり、その軸を社員全員が理解し、行動に移すことが求められます。
しかし、理念とは単なるスローガンではありません。
理念は、実際の行動と結びついてこそ意味を持ちます。
つまり、理念を掲げるだけでなく、どう実現するかが重要なのです。
しかし、固定された理念だけをただ「守る」ことが果たして正しいのでしょうか?
与えられた理念は結局は他者のもの、借り物でしかない
多くの企業が「理念の浸透」に力を入れています。
理念を社内に広め、全員がその方向に向かって行動することを目的とする取り組みです。
しかし、与えられた理念がただ表面的に「浸透」しているだけでは、実際には社員一人ひとりの行動に根付かず、理念が形骸化してしまうことが少なくありません。
なぜなら、与えられた理念は、ある意味で「他者のもの」であり、社員が自分のものとして受け入れなければ、それは単なる「借り物」に過ぎないからです。
トップダウンで押し付けられた理念は、社員にとって「やらされ感」や「形式的なもの」に感じられ、真に心に響くものにはなりません。
理念が他者のものと感じられる原因は、それが個々の社員の価値観やビジョンと結びついていないためです。
理念をそのまま「押し付ける」のではなく、それぞれの社員が自分自身のビジョンや理想と照らし合わせ、個々の目標や信念と統合できるかどうかが鍵になります。
自己のビジョンと統合させ、より高い理想を描くことができるか
企業の理念が真に力を持つためには、社員一人ひとりの自己ビジョンと統合される必要があります。
つまり、理念がただの「会社の目標」ではなく、個々の社員が自分自身のビジョンと重ね合わせ、共感し、自分ごととして捉えることができる状態を目指すのです。
例えば、企業の理念が「革新を通じて社会に貢献する」というものであれば、社員自身も「自分が革新を生み出し、社会に貢献したい」と感じられるかどうかが重要です。
そのためには、社員が自身の価値観やビジョンを見つめ直し、それが企業の理念とどのように結びつくかを考える機会を持つことが必要です。
このように、理念が社員個々の価値観と統合され、個人がより高い理想を描くことができるようになれば、理念は企業全体の力となります。
個々の社員が自らの意志で行動し、それが企業の方向性と一致すれば、企業の成長は加速し、理念の実現も現実のものとなるでしょう。
守破離で新たな理念を創造せよ
理念を浸透させることの弊害は、理念が「固定化」し、時代の変化に対応できなくなることです。
そこで重要なのが、「守破離」の考え方です。
守破離とは、師匠や伝統から学び、その後に自らの工夫を加え、最終的に独自の道を切り開くという考え方です。
これを理念に当てはめると、まずは現在の理念をしっかり理解し(守)、次にそれを破って新しい視点を加え(破)、最後に自分たちで独自の理念を進化させていく(離)というプロセスになります。
企業の理念も、時代の変化や社会のニーズに応じて進化させる勇気が求められます。
固定された理念に固執せず、常に新しい状況に適応し、柔軟に変化させることが重要です。
理念が変わることを恐れるのではなく、変えることで企業全体が成長し、さらに大きな理想を追求できるようになります。
守破離の「守」の段階では、まず企業の現行理念を徹底的に理解し、その背後にある意図や背景を学びます。
次に「破」の段階で、それを現代の状況や個々の社員のビジョンに応じて再解釈し、より効果的で共感できる形に変えていきます。
そして「離」の段階で、独自の理念を生み出し、進化し続ける組織文化を創り上げるのです。
企業が守破離のプロセスを通じて理念を進化させていくことで、時代の変化に対応しながらも、本質的な価値を失わず、常に新しい挑戦に向かうことができます。
まとめ
理念をただ浸透させるだけでは、企業が本当に求める成果を得ることはできません。
与えられた理念は他者のものであり、社員一人ひとりが自分自身のビジョンと結びつけなければ、心からの行動にはつながらないからです。
理念を実現するためには、それを社員個々の価値観や理想と統合し、さらに時代や状況に応じて進化させ続ける勇気が必要です。
「守破離」の考え方を用い、企業の理念を固定化せず、常に新たな視点や価値観を取り入れながら成長していくことで、企業はその理念を実現し、さらなる高みを目指すことができます。
理念は変わらないものではなく、企業や社員が共に成長するための進化する指針であるべきです。
理念を守りつつも、時に破り、そして離れ、新たな価値を創造していく――これが、持続可能な企業の姿勢と言えるでしょう。