シュリンクフレーションの盟主、セブンイレブン、ネット民の火に油をそそぐ「理念を失った経営」
日本を代表するコンビニエンスストアとして成長を遂げたセブンイレブン。
だが、最近の経営方針や消費者を欺くような商品戦略に対し、消費者からの信頼は揺らぎつつあります。
セブンイレブンを展開するセブン&アイ・ホールディングス(HD)はカナダのコンビニ大手「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受ける一方、消費者の不満がネット上で炎上する事態が続いています。
シュリンクフレーションと呼ばれる「実質値上げ」や、消費者を欺く容器の工夫で多くの批判を浴びるセブンイレブンの現状について、問題の根源と創業の理念を振り返りながら掘り下げます。
目次
カナダ大手からの総額7兆円の買収提案、揺れるセブンイレブンの今後
セブン&アイHDが現在、カナダの大手コンビニエンスストア「アリマンタシォン・クシュタール」から総額7兆円で買収提案を受けています。
この買収提案が現実となれば、セブンイレブンは日本市場を代表する存在から、世界の巨大流通ネットワークの一部に取り込まれる可能性が高まります。
買収の背景には、日本国内の成長が頭打ちになっている現状があり、グローバルに市場を拡大するために海外の力を借りるという戦略が含まれているようです。
買収が成立すれば、経営のスタンスも変わる可能性があります。
現在のような「実質値上げ」や「ステルス値上げ」への批判がより強まる中、セブンイレブンのブランドはどのように変わっていくのでしょうか。
スーパー事業を分離し、コンビニ事業への特化を目指す
セブン&アイHDは、創業から続けてきたスーパー事業を切り離し、コンビニ事業に特化するという方針を示しています。
従来はスーパーマーケットを主軸としていたものの、近年では利便性と規模拡大に対応するため、コンビニエンスストアの運営に注力する方針へシフト。
経営効率を追求する姿勢は評価されるべきですが、その一方で「利益至上主義」が目立ち、顧客からの信頼を犠牲にしていると批判されています。
特にセブンイレブンの製品に対しては「上げ底容器」「容量減少」といった、見た目だけのボリュームアップを行う手法が多用されており、消費者に不信感を抱かせる要因となっています。
ブランド力に頼りすぎず、消費者の視点に立った経営が求められる時期に差し掛かっています。
上げ底問題とステルス値上げ:信頼を失うセブンイレブンの経営戦略
「上げ底」や「ステルス値上げ」といった手法が、今のセブンイレブンの商品には頻繁に見られます。
たとえば、ボリュームがあるように見せかけて実際は底が浅い容器や、外見は変わらずに内容量が減らされている商品が批判の対象となってきました。
こうした戦略は「シュリンクフレーション」と呼ばれ、インフレや価格変動への対策として企業が採用する手法ですが、多くの消費者にとっては「実質値上げ」として映ります。
SNSではこの上げ底や偽装容器に対する不満が数多く投稿されており、消費者の間で「セブンイレブンはもはや信用できない」という声も聞こえます。
消費者との信頼関係を重視すべき食品業界において、信頼を損なう経営方針を取ることが、将来的にブランド力の低下につながる可能性は否めません。
社長の「ネットに投稿する方は事実をもって投稿してほしい」発言
10月24日、セブン&アイHDの井坂社長は記者会見で「ネットに投稿する方は、事実をもって投稿してほしい」と発言しました。
このコメントはSNS上で大きな反響を呼び、かえって消費者の怒りに火を注ぐ結果となりました。
消費者の意見を「事実ではない」とする姿勢は、さらに多くの投稿者を刺激し、「#セブン社長」や「#上げ底弁当」などのハッシュタグがトレンド入りし、SNSではセブンイレブン批判の投稿が続出する結果に。
この反応は、セブンイレブンが消費者の声に対してどれほど敏感に耳を傾けているかが問われている証拠でもあります。
誤解があれば説明をすることが必要ですが、消費者の声を一方的に否定するような発言は、結果的にブランドイメージを低下させる原因となりかねません。
日のXでは、セブンイレブンの上げ底容器や偽装容器などのポスト祭りが開催
井坂社長の発言が引き金となり、翌日にはSNS上でセブンイレブンの「上げ底」や「偽装容器」に対する投稿がさらに増加しました。
ネット民の「炎上」は一過性のものかと思われがちですが、今回のように消費者の信頼を裏切るような形で行われた場合、長期的なブランドダメージを引き起こす可能性も高いです。
顧客満足度の低下が続けば、販売数や収益にも影響が出ることは避けられません。
セブンイレブンにとって、再び消費者の信頼を取り戻すためには、これまでの経営方針を見直す必要があるでしょう。
消費者目線に立った商品開発や、価格や内容量を正直に伝える姿勢が求められています。
こうした改善を通じて、再び消費者との信頼関係を築き直すことが、今後の成長に繋がるのではないでしょうか。
「ビジネスを知っているのか?」創業者の理念を忘れた現経営陣
現在の井坂社長は、セブンイレブン創業者である鈴木敏文会長の後を引き継ぎ、経営の舵を取っています。
しかし、消費者の声を軽視し、短期的な利益を優先する姿勢は、創業者が掲げた「お客様第一」の理念から大きくかけ離れているように見えます。
セブンイレブン創業の鈴木氏は、顧客満足と信頼を何よりも重視し、消費者が求める商品やサービスを提供することを最優先にしていました。
今の経営体制がこうした理念を再確認し、顧客の信頼を再び獲得する姿勢を見せることで、セブンイレブンが持つ本来の強みが再評価されるでしょう。
消費者が「何を求めているのか」、そして「どのように応えるべきか」を真剣に考え、誠実な経営姿勢を取り戻すことが、セブンイレブンにとって今後の成長に繋がる鍵です。
セブンイレブンは日本を代表するコンビニエンスストアであり、これまでに多くの消費者から愛されてきました。
しかし、ここ数年の経営方針により、「シュリンクフレーション」や「上げ底問題」といった消費者の信頼を損なう行動が目立ちます。
外資に買収され、従来のセブンイレブンを失ってしまうのか?すでに消費者が愛していたセブンイレブンはないのか?判断の別れるところですが、どちらにせよ顧客と共に価値を共創するといったビジネスを行ってほしいものです。