18歳未満の方はコチラから退場ください。
2025.07.03

自己啓発のおすすめ本シリーズ|『エクスペリエンス・エコノミー(The Experience Economy)』

エクスペリエンス・エコノミー(The Experience Economy)は、B. Joseph Pine IIとJames H. Gilmoreが1999年に発表した、「体験」が経済の主役になるというパラダイムシフトを提唱した名著です。

モノの価値からサービスへ、そして“体験”へ──
経済はその中心軸を、顧客の感情や記憶へと移しつつあります。

たとえば、あなたがスターバックスで「なんとなく居心地がいい」と感じるあの感覚。
それは偶然ではなく、企業がデザインした体験なのです。

経済進化の4つのステージ

ステージ 価値の源泉 特徴
商品(Commodities) 原材料・資源 小麦、鉄など 差別化困難・価格競争
製品(Goods) 加工品 パン、車など 品質と機能性
サービス(Services) 利便性 カフェでパンを出す 時間短縮・効率性
体験(Experiences) 感情・記憶 スタバ、ディズニー 個別体験・感情価値

さらに近年では、変容(Transformation)」という第5段階が注目されています。

これは一時的な体験にとどまらず、顧客の“人生そのもの”を変える体験──たとえば教育、健康、自己実現など──を指します。

消費の目的が満足から変化へとシフトする中で、企業やサービス提供者は、人の内面や価値観に働きかける“人生設計のパートナーとしての役割が求められ始めています。

体験価値経済とは何か?

商品やサービスはコモディティ化しやすいですが、体験は一人ひとりの記憶に深く刻まれ、かけがえのないものになります。

つまり、他の誰も簡単に真似できない独自性が生まれ、差別化の大きなポイントになるんです。

体験はただ提供するだけでなく、「演出される」ものです。
だから企業は、まるでステージの舞台監督のように、その場をつくり出す存在になるんですね。

お客さまは、記憶に残る物語を買っています。
その体験の積み重ねが、価値観や考え方、行動や習慣へとじわじわと影響を与えていきます。

そして、過去の体験と比べながら、商品やサービス、体験を選ぶかどうかを決めているのです。

グループの構想との一致点

『エクスペリエンス・エコノミー』 PDRM構想
体験は経済価値の中心になる 感情を記録・分析・推薦する新経済圏を設計
体験は記憶に残るから価値がある 感情変化ログで“価値ある記憶”を資産化
顧客は演出された場を体験している シナリオ設計・体験ストーリーデータの可視化
変容こそ最終価値 感情に基づく“自己理解”と人生QOLの向上

応用可能なビジネス設計視点

コンセプト 業務改善アイディア
ステージング(演出) UXを“物語化”し、感情変化が起きる導線設計
記憶のためのデザイン 「心が動いた瞬間」をログ化し、再体験推薦へ
価格の変動要因は感情 同じ商品でも“どの体験文脈で買ったか”で価値が変わる
体験の個別化 感情ログに基づく「パーソナライズド・エクスペリエンス」提供

現在、経済は「モノ」から「コト」へとシフトしつつあります。
モノやコトへの消費が、その先のQOL(生活の質)の向上、つまり「変容」を重視する時代も間もなく訪れるでしょう。

データを活用することで、体験 × 感情ログ × リコメンドが融合し、“個人専用のオリジナル体験”を生み出せるようになります。

観光、エンターテインメント、教育、医療、恋愛、家族、金融など、あらゆる業界で応用可能です。

企業は「ステージ(舞台)を設計する存在」となり、経済活動の中心は、自らの体験データを活用する個人の時代へと移っていくでしょう。

ぜひこの本を読んだあと、あなた自身の最近の体験を3つ思い出し、感情を5段階で評価してみてください。

📚 日本語で読める関連書籍

  • 体験を売る時代 エクスペリエンス・エコノミー入門』(ダイヤモンド社・訳本)
  • 体験価値マーケティング』(松井 剛 他)