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【朗報】インボイス制度、激変緩和措置が2年延長｜控除率70％へ引き上げで得た”5年の猶予”をどう使うか
インボイス制度をめぐり、業界にとって見逃せない動きがありました。
自民党と日本維新の会の税制調査会長が、インボイス制度に関する激変緩和措置の見直しについて基本合意したことが明らかになりました。
これは、制度そのものを白紙に戻す話ではありません。
しかし、影響の大きい業界に対し、「現実的な移行期間を設けるべきだ」という認識が、与野党間で共有されたことを意味します。
今回の合意により、猶予期間の延長や控除率の引き上げといった具体策が示され、業界全体にとって”時間を買える”状況が生まれました。
・背景には「小規模事業者の廃業増加」があるのではないでしょうか
今回、自民党と維新の税制調査会長が基本合意に至った背景として、小規模事業者の廃業が想定以上に増えていることは、無視できない要因だと考えられます。
インボイス制度の導入以降、
●免税事業者のままでは取引条件が悪化する
●課税事業者になると、税務・資金繰りの負担が一気に増す
この「どちらを選んでも苦しい」構造により、事業継続を断念する個人・小規模事業者が増えているのが実情です。
では、この合意は何を意味し、私たちはこの時間をどう使うべきなのか。
制度の整理と今後の見通しを、冷静に見ていきましょう。
目次
業界にとって朗報が飛び込みました。インボイス制度、猶予期間延長へ
インボイス制度をめぐり、業界にとって非常に大きなニュースが入りました。
それが、激変緩和措置（経過措置）の期間延長です。
まずは簡単に、インボイス制度のおさらいから。
インボイス制度とは？
消費税の仕入税額控除を受けるために「適格請求書（インボイス）」の保存が必須となる制度
インボイスを発行できるのは「課税事業者」のみ
免税事業者は、原則として仕入税額控除の対象外になる
この制度は、免税事業者が多い業界ほど影響が大きいという特徴があります。
そして、言うまでもなく――
この業界は、まさにそのど真ん中にあります。
インボイス制度で、この業界は「約2,000億円」利益が減少すると言われている
各種試算では、インボイス制度の完全実施により、業界全体で年間約2,000億円規模の利益が消失すると予測されています。
これは、
▸税負担の増加
▸取引条件の悪化
▸キャスト・スタッフ双方の実質手取り減少
といった要因が、一斉に発生するためです。
特に影響が大きいのが、
・個人事業主
・フリーランス
・業務委託モデルに依存している事業構造
このまま何も対策を取らなければ、「真面目にやっているほど苦しくなる」構造になりかねません。
猶予期間が2年延長。控除率は「50％ → 70％」へ引き上げ
今回の制度変更で、最も評価すべきポイントがここです。
これまで
激変緩和措置：2023年〜2026年
仕入税控除額80％
2027〜2028年は免税事業者との取引でも → 仕入税額控除 50％まで認められる
今回の変更
激変緩和措置が2年間延長
さらに 2027年以降の控除率が「50％ → 70％」へ引き上げ
その後段階的に引き下げられ緩和措置期間が2031年までとなります
これは単なる延命措置ではありません。
国としては、
①インボイス制度そのものは維持する
②しかし、影響の大きい業界については「急激な断絶を避け、現実的な移行を認める」
という、明確なメッセージを出した形です。
つまり、
・今すぐ全員が課税事業者になれ、という話ではない
・しかし、いずれは移行する前提で準備せよということ
「猶予は与える。だが、考える時間は無限ではない」
そう受け取るのが正解でしょう。
「残り3年の事業余命」が「5年」に延びたのは間違いない
正直に言います。
今回の措置がなければ、
・構造転換ができない事業者
・旧来モデルに依存し続ける店舗
は、あと3年もたない可能性が高かった。
しかし今回の延長で、
・事業余命は実質5年に延びた
・時間を「戦略」に変える余地が生まれた
これは、単なる延命ではありません。「考え、作り直すための猶予」です。
この5年間で、ビジネスモデルを革新できるかがすべて
ここからが本題です。
この5年間でやるべきことは、ただ一つ。
インボイス制度に耐えられるビジネスモデルへ進化すること
具体的には、
✓単価構造の見直し
✓付加価値の再定義
✓税務・労務を含めた設計の再構築
✓「人」に依存しすぎない仕組みづくり
✓AIの活用とDX化
そして何より、「この業界はこういうものだ」という思考停止からの脱却です。
インボイス制度は、
・業界を潰すための制度ではありません
・構造改革を促すための制度です
生き残るのは、
声が大きいところでも、規模が大きいところでもなく、変化に向き合い、設計し直したところです。
今回の猶予延長は、間違いなく朗報です。
しかし同時に、「最後の警告」でもあります。
しかし、本音としては「70 → 50 → 30 → 10」と、もっと段階的にしてほしい
今回の合意で、控除率が70％まで引き上げられたこと自体は評価できます。
しかし、業界の現場感覚としては、正直こう思う人も多いのではないでしょうか。
70％ → 50％ → 30％ → 10％
これくらい段階を刻んでほしい。
理由はシンプルです。
なぜ「もっと刻む必要がある」のか
この業界は、
・個人事業主・業務委託が多い
・単価・稼働・バック率が複雑に絡む
・税務対応を急に変えられない構造
控除率が一気に下がると、
→店舗側はコスト増
→働く側は実質手取り減
→その歪みが現場の摩擦として噴き出す
結果として、誰も得をしない状態になりかねません。
事業者がいなくなれば、税収も減ってしまうからです。
段階的引き下げは「甘やかし」ではなく「秩序ある移行」
順序立てて変えるための設計
70 → 50 → 30 → 10 と刻めば、
●事業者は将来を見据えた設計ができる
●働く側も判断材料を持てる
●突然の離脱・混乱を防げる
これは「守るため」ではなく、壊さずに変えるためのやり方です。
段階を踏むことで不可逆的になります。
業界の未来は、制度ではなく、
私たちの意思決定で決まります。
