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2025.06.27

構造化する“人”の力(第6回)“メタ認知力”を育てる組織設計

経営の真価は、「人をどう育てるか」に現れる

どれほど優れたビジョンや制度があっても、人が自ら育ち続ける力を持たなければ、組織は持続しません。

では、人が育つとはどういうことか?
それは、「自らを見つめ、修正し、より良い選択ができるようになる」ということ。

つまり、メタ認知力を持った人材が増えることが、真の成長です。

メタ認知とは何か?

メタ認知とは、「自分の考え方を認識し、調整できる力」

もっと言えば──

自分の思考を問い直す4つの視点:

  • 今、自分は何を感じ、どう判断しているのか?
  • その判断はどこから来ているのか?
  • 他の選択肢はあるのか?
  • 自分の認知の癖に気づいているか?

というように、自分自身の思考プロセスを客観的に見られる能力のことです。

この力がある人は、失敗しても学び、感情に飲まれず、立ち止まって考え、環境の変化にも自律的に適応していけます。

メタ認知は、組織の中で育つ

メタ認知は、意識高い一部の人だけが持つものではなく、組織がそうなるように設計されていれば、誰でも育つ力です。

たとえば──

メタ認知を育てる組織的アプローチ:

  • 1on1で「問い」を投げかけ、考えさせる場をつくる
  • 日報や週報に“思考の整理”を仕込むテンプレートを用意する
  • 会議で「事実・解釈・感情・対策」を切り分けて発言させる
  • 振り返りやフィードバックの習慣が定着している

こうした仕掛けを継続的に設けることで、自分を客観視し、意味づけし、行動に変える力が組織全体に育っていきます。

内省するチームは、成長し続けるチーム

「チームの成長」は、メンバーのスキルアップではなく、内省の習慣がチーム文化として根づいているかどうかで決まります。

内省するチームに根づく文化:

  • “振り返る習慣”がある
  • “言葉で考える文化”がある
  • “問いが共有される場”がある
  • “間違いや迷いを開示できる空気”がある

このような環境では、失敗も停滞もすべてが次への材料になります。

そしてその積み重ねが、自律的でしなやかな組織をつくっていくのです。

メタ認知 × 人的資本経営

人的資本は、現在の能力だけで語られるものではありません。

真の資本とは、「自分の資本を育てられる力そのもの」です。

メタ認知力がある人が持つ力:

  • 学び方を学べる
  • 間違いに気づける
  • 環境に意味を見出せる
  • 自分の選択を問い直せる

このようなメタ認知力を持つ人材が増えることで、人的資本は活性化された資本へと進化していきます。

経営とは、「気づきの構造」を設計すること

理念も制度も感情設計も、すべての土台にあるべきもの──

それが、「気づける構造」です。

経営とは、「自ら気づき、学び、選びなおせる人間」を育むための、問い・振り返り・対話の場を構造として埋め込むことです。

次回予告

次回はいよいよ、外向きの人的資本に目を向けます。

人が自然に集まりたくなるブランド・組織の共通点について解説します。

第7回|“人が集まる理由”を設計する──価値観の可視化と、意味の構造化によるブランドの魅力設計