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2025.05.23

構造化する“人”の力(第1回) 人的資本経営は「仕組みづくり」から始まる

経営とは、単に利益を最大化するための仕組みではありません。
人が集まり、自ら動き、そして「ここにいる意味」を感じられるを設計することが、経営の本質だと考えます。

この連載では、人的資本を「能力の集合体」としてだけでなく、感情や文脈、共鳴といった要素を含んだ構造化された力として捉えていきます。

「なぜ、ある会社には人が自然と惹かれ、別の組織からは離れていってしまうのか?」

その問いに対する答えは、「構造」にあります。
真に人を活かす人的資本経営とは、人そのものに注目するのではなく、人が自然と力を発揮したくなる構造をつくることから始まるのです。

経営とは何でしょうか?

この問いに対して、皆さんはどのように答えるでしょうか?

「売上を上げること」
「利益を最大化すること」
「社員をマネジメントすること」

いずれも間違いではありません。
ですが、私は次のように定義したいと思います。

経営とは、“人が集まり続ける構造”をつくることです。

ここでいう「集まる」とは、単に人数が多い状態を指すのではありません。
「この場所でなら、自分の力を発揮できる」と人が信じられる状態。
「ここで何かを成し遂げたい」と自ら動きたくなるような状態。
そうした磁場のような構造を意図的につくり出すことこそが、経営の本質だと考えています。

人的資本は「存在」ではなく「構造」の中で力を発揮する

近年、「人的資本経営」という言葉が注目を集めています。
しかし、それを単なる「人材の管理」「スキルの一覧表」として捉えるのでは、本質を見誤ってしまいます。

人的資本とは、人が持つ知識や経験、情熱が“構造的に活かされる”ことによって、初めて力を発揮するものです。

どれほど優れた人材がいても、その力を活かせない場にいる限り、それは資本とは言えません。
一方で、たとえ凡人であっても、「自分の役割を感じられる構造」に身を置くことで、想像以上の成果を上げることができます。

つまり、経営者に求められるのは──
人が力を発揮したくなる“場の構造”を設計する視点です。

なぜ人は集まるのか?

人が組織に集まる理由は、スキルシートや待遇条件といった表面的なものだけではありません。
人は、意味”に惹かれ、“共感”によって動かされるのです。

たとえば、ビジョン、パーパス(存在意義)、ストーリー、制度設計、信頼関係、日々の習慣──
こうした要素が重なり合うことで、人は「この組織に所属したい」「ここで働きたい」と感じるようになります。

つまり、経営とは、人が意味を見出し、共鳴できる“”を意図的にデザインすることに他なりません。

次回予告

では、具体的に「人が集まる構造」はどのように設計すればよいのでしょうか?
そのヒントは、次回のテーマにあります。

第2回|人は“何”に惹かれて集まるのか?

次回は、人間の行動や感情、選択の背景にある“惹きつける力”、いわば組織の磁力の正体について掘り下げていきます。