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2025.08.27

原付市場も電動化の波、世界のホンダは、アジア市場を守れるのか?

アジアの街角といえば、ひっきりなしに行き交うバイクの群れ。
その多くを占めてきたのが、ホンダをはじめとする日本メーカーの原付です。

しかし今、その“国民の足”が電動化の波に呑み込まれようとしています。
世界最大の二輪メーカー・ホンダは、軽自動車で国内トップシェアを誇りながらも、真の収益源は二輪部門。
ところが、電動化の加速と制度改革により、この収益基盤が大きく揺らぎ始めています。

果たしてホンダはアジア市場を守れるのか?
本稿では、その現状と日本が打つべき手を考えます。

ホンダを支える「二輪の力」

ホンダは軽自動車販売で 国内シェア約35% を誇ります。
しかし、ホンダを“世界企業”に押し上げたのは四輪ではなく二輪でした。

その象徴が スーパーカブ。1958年の発売以来、世界累計販売台数は 1億台突破
「世界で最も売れた二輪」としてギネス級の記録を持ち、アジアの通勤・通学・物流を支える「国民の足」となってきました。

現在もホンダの年間二輪販売は 約1,800万台
営業利益のうち 6,000億円超(全体の約6割) を二輪部門が稼ぐなど、まさにホンダの生命線はバイクにあります。

しかしながら、外部環境の変化により、ホンダの絶対的な王者の地位も危うくなっています。

二重の試練に直面するホンダ

米国の関税政策は四輪部門に 年間数百億円規模の利益減 をもたらしました。

さらに国内では 2024年の道路交通法改正により「50cc原付」クラスが廃止。
これまで日本の街角を支えてきた「原付一種から50cc」は消え、 排気量125ccデチューン電動シフト することになりました。

一方アジアでは原付市場の電動化が急加速し、ホンダにとっては「本丸」での危機が迫っています。
つまり、海外では 電動化の波、国内では 原付そのものの消滅 という二重の試練が到来しているのです。

ホンダが生き残るための道は二つ

  • 趣味・スポーツ市場 ではガソリンバイクを維持
    音や振動、改造文化はEVには代替できず、ここは依然として強い。
  • 日常移動需要 はE-Bike・EVスクーターへ移行
    台湾のGogoroのように「バッテリースワップ網を作る」か、日本でE-Bikeの法整備を進めるか。
台湾の Gogoro は、国内で 12,000拠点以上の電池交換ステーション を展開。
今や国内シェアの 9割以上 のEVスクーターを支えています。

これは単なる車両供給ではなく、「インフラを制した者が市場を制する」ことを証明した事例です。
ホンダも「趣味バイクを守りつつ、インフラ戦略と制度戦略で移動需要を取り返す」ことが不可欠です。

中国・ベトナム・インドで進む電動化

中国
年間 3,000万台超 の二輪がすでに電動化。
大都市では ガソリン原付の新規登録禁止 が進む。

ベトナム
年間販売 300万台 市場。
VinFast の電動バイクが 2025年上半期だけで 前年比+500%増
学生や通勤層の 3人に1人 がEVを選択。

インド
年間 1,960万台(世界最大) の二輪市場。
政府は 2030年に40%電動化 を目標に掲げ、
Ola Electric が急成長。

こうした国々では、「趣味需要」 は残る一方で、
通学・通勤・配送といった単純移動需要
ガソリンから急速に離脱しつつあります。

日本が打つべき手は「E-Bike規制緩和」

日本国内の原付市場はピーク時の 10分の1以下(約20万台規模) に縮小しました。
打つべき手は明確で、電動アシスト自転車(E-Bike)の規制緩和 です。

現行:24km/hでアシスト停止

改正案:35km/hまでアシスト+ヘルメット義務化

これにより「次世代の原付」をE-Bikeに位置づけ直し、アジア市場と同じ電動化の波に乗ることができます。
シマノ・ヤマハ・パナソニック・ブリヂストンといった国内メーカーが既に技術基盤を持っており、法改正ひとつで市場の主導権を取り戻せる 可能性があるのです。

シマノ(SHIMANO)のシェアと優位性

  • 世界最大の自転車部品メーカー
  • グローバル自転車コンポーネント市場で シェア6割以上
  • 欧州E-Bike市場では Bosch・Yamahaと並ぶトップ3
  • Bosch 約40%、シマノ 約20%前後のシェアを確保

ヤマハ(YAMAHA)のモーター優位性

  • 1993年、世界初の電動アシスト自転車を市販したパイオニア
  • 国内E-Bike用モーターユニットではトップシェア
  • 欧州でもBosch・Shimanoに次ぐ存在
  • 特にトルク型モーター に強み

近い未来、短距離移動市場は 電動アシスト自転車と電動バイク に二分化されていくでしょう。

日本の立ち位置の矛盾

日本には世界に誇れる二輪・自転車産業があります:

  • ホンダ・ヤマハ:世界的な二輪メーカー
  • シマノ:自転車部品で世界シェア約6割
  • パナソニック・ブリヂストン:バッテリーや電動化技術に強み

しかし現実には、国内制度が保守的すぎて、この優位性を活かしきれていません。
50cc原付が消滅した今こそ、E-Bikeを「次世代原付」と位置づけるべきタイミングです。

E-Bikeの実用的優位性

  • 取り回し:軽量(20〜25kg)でスクーター(50kg以上)より扱いやすい
  • 駐車場:自転車扱いで駐輪場を利用可能。都市部では大きなメリット
  • 安全性:速度が抑えられ、ペダルでの制動も可能

都市環境・高齢化社会の日本には、E-Bikeが電動スクーターよりも 現実的な解決策 となります。

バイクの電動化は、ホンダにとって イノベーションのジレンマ
新市場に挑戦するのか、インフラを整備するのか、それとも趣味需要に頼るのか?
電動化によって戦場が変わった今こそ、したたかな決断が求められています。

まとめ

ホンダはスーパーカブ累計1億台を突破し、年間 1,800万台を販売する二輪帝国。
しかしアジアでは電動化の波、国内では2024年に「50cc原付」が消滅という二重の試練に直面しています。

アジア市場を守るためには、ガソリンで趣味需要を維持しつつ、日常移動需要を E-BikeやEVで取り返す戦略 が不可欠です。

そのためにも、日本自身が E-Bikeを次世代原付として制度化する決断 が求められているのかもしれません。