2025.07.15
「モノよりコト」が選ばれる時代──感情が動き、語りたくなる体験価値とは?


体験価値とは何か?


体験価値とは、商品やサービスを通じて得られる感情的・心理的・社会的な価値のことです。
単なる「機能」や「価格」ではなく、「心が動いたか」「記憶に残ったか」が重要視される時代になっています。
たとえば、おにぎりひとつとっても──
- コンビニの100円おにぎり → 単なる価格価値
- 古民家カフェで職人がにぎる塩むすび → 時間・空間・人との関係性が紡ぐ体験価値
現代はモノがあふれる社会。
だからこそ、「どんな時間を過ごせたか」「どんな感情になれたか」が選ばれる理由になっているのです。
体験価値の4つの主要要素


アメリカの経営学者パイン&ギルモアが提唱した「体験経済の4分類」は、体験価値を分解して理解するうえで非常に参考になります。
要素 | 内容 | 例 |
---|---|---|
娯楽的価値(Entertainment) | 楽しさ、心地よさ | 映画、ショー、SNS動画 |
教育的価値(Educational) | 学び、成長 | ワークショップ、オンライン講座 |
逃避的価値(Escapist) | 没入、現実逃避 | VR、旅行、ゲーム |
審美的価値(Aesthetic) | 美しさ、雰囲気 | 美術館、建築空間、花屋の香り |
重要なのは、これらを意図的に設計して提供することが「ブランド体験」になるという点です。
体験価値を高めることでクチコミが発生する


人は感情が動いたときに、それを「誰かに話したくなる」という衝動を抱きます。
つまり、体験価値が高まるほど、自然にクチコミ(自発的な宣伝)が発生するのです。
「スタッフの接客がすごく丁寧だった」
「あの空間、まるで異世界だった」
「この体験を友達にもシェアしたい」
こうした声は、広告では得られない信頼性と拡散力を持ち、ブランド資産として蓄積されていきます。
構造的にクチコミを発生させる仕掛けがビジネスモデルである


「たまたま感動した」ではなく、「感動させる仕組みをデザインしている」──これこそが、現代の強いビジネスです。
たとえば、こんな“仕掛け”が体験価値を生む:
- 接客に“物語”を持たせるマニュアル
- 写真映えする“シェアポイント”の設計
- 顧客が“主役になれる瞬間”を演出するUX
これらはすべて「体験価値を構造的に仕込む」工夫。
つまり、ビジネスモデルそのものが「クチコミ発生装置」になっているのです。
まとめ
「商品力」や「価格優位性」だけでは、選ばれ続けることは難しい時代。
だからこそ、ビジネスの本質は“仕組み化された感動”=体験価値の提供にあります。
あなたのビジネスが「どんな感情を提供しているのか」──いま一度、立ち止まって考えてみませんか?