「今この瞬間」と「あとから効く記憶」──体験価値を高める2つの設計視点


目次
「体験価値(Experience Value)」とは?──心に残る設計の基本概念


体験価値(Experience Value)とは、
商品やサービスを通じて得られる、「感じる満足」や「記憶に残る感動」のこと。
機能や価格などのスペックとは別の次元で、人の心に訴えかける“感情的価値”です。
これは機能や価格といったスペックとは別の次元で、人の心に影響を与える価値です。
「現在体験価値」とは?──その場で心を動かす体験のつくり方


現在体験価値(Immediate Experience Value)とは、
体験の最中にリアルタイムで感じる、「楽しさ」「快適さ」「感動」「没入感」など。
五感や感情にダイレクトに響く、“その場で心が動く”価値です。
💡 現在体験価値の例:
- レストランで料理が運ばれた瞬間の演出
- ネット注文後、即時に届くスピードの気持ちよさ
- アプリUIの直感的な使いやすさ
- スパで心地よく流れる音楽と香り
これらは五感や感情に“リアルタイムで”訴えかける価値です。
「将来体験価値」とは?──記憶に残り、あとから効くブランド体験設計


将来体験価値(Anticipated / Retrospective Experience Value)とは、
体験が終わったあとに思い出として発動する、「記憶」「語りたくなる」「再び選びたくなる」価値のこと。
後日ふと心に残る印象や、再訪・リピートにつながるような“あとから効いてくる体験”です。
💡 将来体験価値の例:
- 旅から帰ったあとに写真を見返して“また行きたくなる”感情
- 時間が経って「そういえば、あのブランド良かったな」と思い出す印象
- 商品を使い続けるうちに“自分に馴染んでくる”ような愛着
これは「記憶に残るか?」「再訪・再購入につながるか?」という、長期視点の価値です。
現在体験価値と将来体験価値の違いと使い分け方【活用シーン付き】
現在体験価値と将来体験価値の比較
実務での使い方
- SNSでバズらせたい → 現在体験価値を強化 (視覚・驚き・共感)
- ブランドを育てたい → 将来体験価値を仕込む (余韻・意味づけ・継続感)
両者を組み合わせることで、「その場でも感動し、あとでも思い出す」体験が生まれ、
結果として口コミ・再購入・ファン化を促進できます。
まとめ|体験価値を高めるには?──“思い出に残る瞬間”は設計できる


体験価値には、「瞬間の満足」と「記憶としての満足」の両方があります。
どちらか一方だけでは不十分で、両立させることで“忘れられない体験”が生まれます。
ビジネス、教育、プロダクト開発、観光設計など、あらゆる分野で意識すべき視点です。
「今、心が動いた」
──その瞬間を誰かが覚えていて、
「あのとき、心が動いた」と思い出してくれる。
それこそが、本当の“体験価値”です。