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残クレ住宅ローンの出口を設計する|コンパクトシティ×感謝循環型コミュニティという解決策

前回の記事では、残価設定型住宅ローン(残クレ住宅)が日本社会にもたらす”静かな危機”を取り上げました。

ここから先は、”家を失わない社会”をつくるための解決策を提案します。

・70歳以降の居住リスク

・老後女性の住宅難民化

・地方の空き家爆発

・中古住宅市場の値崩れ

・住宅メーカーの在庫リスク

これはローンそのものの問題ではなく、社会側の「受け皿」が存在しないことが本質的な原因です。

結論から言えば、

残クレ住宅ローンは、都市構造そのものの改革とセットでなければ成り立たない制度です。

このブログでは、その全体像を示します。

01

解決の鍵は「コンパクトシティ化」

残クレは”好き勝手に家を建てる時代”と矛盾する

残クレ住宅は、70歳で「家を手放す可能性がある」仕組みです。

ということは、老後の”受け皿”が都市のどこにあるのかが制度の安定性を決める。

しかし日本の現状はその逆で、

・郊外の無秩序な住宅開発

・限界集落化したエリア

・公共交通の衰退

・空き家の分散化

これらが進行しており、とても70歳以降の住み替えを支えられません。

では、どうすればよいのか。答えはシンプルです。

高齢者が「働かされる存在」ではなく、感謝され、そして感謝する側にもなれる“共創コミュニティ”をつくること。

そしてそれは、コンパクトシティ化という、避けられない時代背景とともに必然的に生まれるべき社会モデルなのです。

この設計がないかぎり、残クレ住宅は「高齢者を街の端へ散らす装置」になります。

なぜ今、コンパクトシティが”絶対条件”なのか

① 高齢者が都市郊外に散らばりすぎた

1970〜2000年代に急増した郊外戸建。ここに現在、高齢者だけが残り、

・買い物難民

・医療難民

・孤独死

・空き家化

が同時多発しています。分散型社会はもう維持できない。

② 社会インフラの維持費が国家予算を食いつぶし始めた

道路、上下水道、電線、バス路線…。人口が減れば減るほど割高になり、自治体財政を圧迫しています。

郊外住宅は無限に維持できないのです。

③ 労働力不足で「距離を支える社会」そのものが成り立たない

介護、医療、物流、公共交通。どれも人手不足です。

「広い地域に点在する高齢者」を支えるのは、制度上も、財政上も、物理的にも不可能になりました。

02

公営住宅UR住宅の活性化によるコンパクトシティ × 感謝循環型コミュニティ

高齢者が都市機能の近くに集まれば、医療、買い物、生活支援などの「支えるコスト」は劇的に下がります。

しかし、ここで終わってはもったいない。

ただ集めるのではなく、”価値が循環するコミュニティ”に設計し直すべきです。

その中心概念が、「高齢者を受益者ではなく共創資源と捉える視点」

・高齢者を”受益者”から”共創の担い手”へ

・高齢者同士が「ありがとう」を交換する社会へ

という思想です。

これを社会モデルとして言語化すると「感謝循環型コミュニティ」となります。

03

感謝が循環するコミュニティとは何か

“働く”ではなく”役割を交換する”こと

「高齢者になっても働け」ではありません。

重要なのは、

・高齢者が”誰かに役立てる場”を持つこと

・ケアの受益者でありながら、ケア提供の一部も担える“二重の価値者”

高齢者こそ、時間があり、経験があり、人の役に立ちたい気持ちを持っている。

これにより、老老介護は「過負荷の悲劇」ではなく“互恵の共創”へと進化する。

これは日本社会の新しいケアの姿です。

研究結果でも、役割がある高齢者は

・歩行速度が速い

・認知症発症率が下がる

・孤立しにくい

・生活満足度が高い

と明確に示されています。

コミュニティでは、次のような”軽役割”が循環します。

配膳を少し手伝う、団地内を見回る、ちょっとした掃除をする、お話し相手になる

花壇を整える、趣味の講座を開く、スーパーの移動販売の補助をする

これらは”労働”ではなく、「誰かのためになる行為」です。

そこで生まれるのが

「助かったよ」「昨日はありがとう」「私も今日は手伝うね」という”感謝の往復”。

この往復こそがコミュニティを成立させる最小単位であり、高齢者の幸福度を押し上げる真の源泉です。

04

残クレ住宅の本当の出口、経済的フィードバック構造

残クレ住宅は、単なる金融商品ではありません。

日本の”住まいの終末期”の設計図そのものです。

問題は住宅ローンではなく、70歳以降の”受け皿コミュニティ”が存在しないこと。

だからこそ、必要なのは

コンパクトシティ化 × 感謝循環型コミュニティ × 高齢者の役割デザイン

この統合モデルです。

高齢者が「働かされる」のではなく、高齢者が「ありがとう」を生み出す存在になる。これが、残クレ時代の日本社会に必要な新しい老後インフラの姿です。

このモデルが解決できること

残クレ住宅が地方の空き家を「管理可能なストック」に変える

従来の空き家問題は

■ 持ち主が高齢化

■ 相続人が遠方

■ 維持管理のインセンティブゼロ

■ 売却不可能(買い手がいない)

■ 行政は強制撤去コストが重い

という「放置前提」で悪化してきた。

しかし残クレ住宅は住宅の取得=出口設計と管理義務のセットになる。

これにより

■ 老朽化住宅が市場に出る前に捕捉される

■ 20〜30年で再流動化する

■ 売却前提なので維持管理が強制される

■ 自治体が早期にストック状態を把握できる

つまり、空き家が発生するスピードを大幅に減速できる。

さらに自治体は「残クレで住宅を買った層を街の核(コミュニティ団地)へ配置」すれば、人口の分散防止にもなる。

空き家が減ると”治安が良くなり””災害リスクが激減”する

空き家が多い地域は治安が悪くなる。理由は

・侵入・不法投棄・放火・野生動物・地域の監視目が減る

残クレモデルによって空き家が減ると町全体の「人の目」が増え、犯罪リスクは劇的に減る。

また災害面では

■ 倒壊しやすい住宅の早期撤去

■ 老朽家屋の放置防止

■ 風害・地震リスクの連鎖減少

■ 避難経路の障害物減少

これらが実現する。これは非常に重要で、自治体の防災計画の根幹に影響するレベル。

自治体のインフラ保守費用が大幅に下がる

地方の最大の悩みは「人口が減っても道路・上下水道は維持し続けなければならない」という矛盾。

残クレ × コミュニティ団地が成立すれば人を”密度の高い区域に誘導”できる。

結果として

■ 道路延長の縮小

■ 下水道の維持コスト削減

■ 公共交通の効率化

■ ごみ収集ルートの短縮

■ 公共施設の集約化

など、行政コストが劇的に下がる。都市計画的に言えば「複合的なコストセンターの整理」が可能になる。

空き家の再活用で「観光」「リゾート」「農業」が一気に復活

空き家を”負債”ではなく資源化する発想。

■ 観光(地域文化の資産化)

・古民家ホテル

・分散型宿泊施設

・ローカルツーリズム

・サイクリングステーション

・移住体験ハウス

空き家は実は観光資源として極めて強い。

■ リゾート(富裕層の中長期滞在)

・スローリビング

・ワーケーション

・外国人富裕層の受け皿

・温泉付き分譲地の復活

・観光ハンティング

■ 大規模農業(離農後の土地を統合)

空き家と一体で

・農地再編

・スマート農業導入

・地域雇用創出

・アグリリゾート

空き家と農地はセットで再活用できる。

このモデルを活用することで
「住宅」「福祉」「空き家」「地方創生」「地方財政」「災害対応」「就業機会」「独居老人」
などバラバラな問題を一本の構造線の中に収束させることができます。

また、実装可能性の高さとしても日本の制度に部分的に存在するため、実装ハードルが低くなっています。

・UR賃貸の再活用

・空き家対策特別措置法

・コンパクトシティ法案(立地適正化計画)

・コミュニティ再編モデル

・農地バンク

・インフラ集約化の法制

・住宅性能の長期優良住宅化

「Aの問題を直すにはAの政策」しか設計するのでなく。システム思考で「A・B・Cを同時に動かしてEを解決する」というレベルで構造化することが重要なのでです。

・住宅政策・福祉政策・地方創生・社会哲学・都市デザイン・コミュニティ論

様々な状況を理解し、省庁を横断して解決できる施策を望みます。

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