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業務改善モデリングUML/BPMN/DFD/ERD/DMN

業務改善のためのビジネスモデリング

ビジネスモデリングとは何か?その種類

ビジネスモデリングとは、業務構造・データ・プロセスを図式化することで、現状把握や改善施策を共通言語化する技術です。モデリングを使うことで、属人的な業務を可視化し、構造的な業務改善・システム設計が可能になります。

代表的な手法

ユースケース図(UML):誰がどんな機能を利用するかを示す仕様ベース
BPMN / DFD:業務フローとデータの流れを整理
ER図:データ構造と関連性を整理

ユースケース図 — UMLの構成要素

ユースケース図は、ユーザー視点でシステムの振る舞いを図式化するUML形式です。

構成要素 解説
アクター システムを使用する人・外部システムなど
ユースケース 特定の機能・利用場面を楕円で表現
サブジェクト(システム境界) ユースケースを包む矩形、対象範囲を明示
関連 アクターとユースケースの関係。include/extend/汎化なども含む
ユースケース図の例
👤
ユーザー
システム
ログイン
データ登録
レポート作成

メリット

ユーザー視点でシステムの機能を明確化
合意形成しやすく、非IT背景者にも理解しやすい
要件定義の初期段階で有効

BPMNとDMMで業務の流れや改善点を詳細化

BPMN(Business Process Model and Notation)

業務の開始から終了までのステップ、意思決定の分岐、イベントや成果物を視覚的にモデル化する標準記法です。アクティビティ、イベント、ゲートウェイ、フロー、スイムレーンなど要素で構成され、プロセス可視化と自動化に対応します。

BPMNプロセスフローの例
開始
処理A
判断
処理B
終了

DMM(9エリアマッピング)

DMMは、3×3マス(9エリア)に中心の業務や目的を配置し、周囲8エリアに関連する機能や要素を階層的に配置する手法です。業務機能の整理に非常に有効です。

DMMの構造例

問い合わせ受付

見積作成・提示

契約締結・決済

業務処理・配送
受注管理
(中心業務)

フォローアップ

データ記録・分析

改善施策生成

部門連携・教育

ERDとDFDでデータ構造とフローを整理

ERD(Entity-Relationship Diagram)

データベースの設計で使われ、エンティティとそれらのリレーションを図示します。業務にとって重要なデータ構造整理に不可欠です。DFDと併用することで、業務とデータの整合と流れを分かりやすく提示可能です。

ERDの概念図
顧客
顧客ID
氏名
連絡先
注文
注文ID
日付
金額
商品
商品ID
商品名
価格

DFD(Data Flow Diagram)

データの流れに視点を絞り、外部入力、処理、データストア、出力という構造を明確化します。データ中心の改善設計で、ER図やシステム設計にも繋がります。

DFDの流れ
外部入力
処理
データストア
出力

AIによる自動化では、人の思考プロセスも可視化すること

AIを業務自動化に導入する際には、機械処理に留まらず、人の判断・思考・意思決定の流れを可視化しておくことが重要です。

なぜ「人の思考プロセス」を可視化するのか?

判断基準・意思決定の透明性を担保するため

AI導入によって、人間の直感や暗黙知に基づく意思決定がブラックボックス化すると、誰が・なぜ判断したのか不明確になります。モデリングを通じて「意思決定ポイント」「意思決定基準」「例外処理や判断フロー」を明示することで、説明責任とトレーサビリティを確保できます。これは特に高リスク領域で重要です(例:審査、コンプライアンス)。

自動化後もヒューマン・イン・ザ・ループを明文化

Camunda等の現代的BPMプラットフォームでは、BPMNモデルに人の判断ステップや例外フローを明記し、AIによる処理と人の判断を明確に切り分けて設計することが推奨されています。これにより、監査やポリシーへの準拠、再設計・変更が容易になります。

改善サイクルと継続的学習を可能に

意思決定の前提やルールが明文化されていれば、結果とのギャップが発生した際に原因分析やルール改善が可能です。モデリングされている判断基準・ロジック構造をもとに、AIモデルの再訓練やルール調整につなげる設計基盤になります。

モデリング手法の活用とその意義

モデリング手法 人の思考プロセス可視化の役割 期待できる効果
ユースケース図 / BPMN 判断者・判断箇所・選択肢を明示し、AI/人のタスク分離を可視化 ステークホルダー間で業務範囲と責任を共有しやすくなる
Decision Model & Notation(DMN) 意思決定ロジック(ルール・判断基準)を判断モデル図やテーブルで整理 決定ルールの再利用・改善が容易に。AI導入基盤として標準化推進
DFD / ERD 判断に使われるデータ・情報フロー・保存先を整理して背景を明示 データ品質や入力・処理フローに不備がないか検証でき、信頼性向上に貢献
BPMN拡張:AI/Agentlane AIエージェントと人間を異なるレーンで記述し、協調や反射(reflection)を表現 AIと人の協働作業の流れ、判断オプション、例外処理を直視化

重要なポイント

意思決定の責任範囲と根拠を明確化(説明性の担保)
オートメーションバイアスの防止と健全な判断設計
業務・戦略の変化への柔軟対応と改善ループの構築基盤

まとめ、ビジネスモデリングは問題解決のための共通言語

業務モデリングは、複雑な業務を誰にでも理解できる形で表現する共通言語です。BPMN・DFD・UML・ERD各種の図解ツールを活用することで、次の成果が得られます:

属人化された業務の可視化と標準化
業務とシステムの整合性を保ちながら設計
要件定義の明確化とクライアントとの共通認識
自動化・デジタル化への橋渡しとなる業務モデル基盤の構築

💡 ヒント

業務改善のためには、表記法を気にせずに書いてみることも必要です。完璧な図を目指すよりも、まずは業務の流れを可視化することから始めましょう。
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