ビジネスモデルの変更の仕方 ~ビジネスモデルを再設計する5つの型と事例


再発明は“ひらめき”ではなく“構造設計”です。
前回の記事では、ChatGPTなどの生成AI登場以降、ビジネスモデルの再発明がなぜ急務なのかをお伝えしました。
今回はその続編として、「具体的にどう再設計すればよいのか?」を、5つの“型”と事例を通じてご紹介します。
重要なのは、「特別なアイデアがあるか」ではなく、構造をどう組み直すかです。
では、さっそく見ていきましょう。
目次
【型1】サブスクリプション型|関係性を“継続”に変える


「売って終わり」から「売ってからが始まり」へ。
単発の取引を、継続的な関係へと再構成するモデルです。
事例
Adobe:パッケージソフトの販売から月額利用モデルへ完全移行
Yogibo:家具をサブスクで貸し出す“暮らし提案型”サービス
再設計のポイント
・利用頻度や更新性がある商品・サービスはサブスクと相性が良い
・カスタマーサクセスを前提に、LTV(顧客生涯価値)最大化を狙う
【型2】プラットフォーム型|提供者を“増やす”モデル


自社で全てを作らず、他者と共に価値を提供する構造。
取引を仲介・促進する“場”を提供。
事例
BASE:個人が簡単にECショップを持てる仕組みを提供
note:書き手と読み手のマッチングとマネタイズを支援
再設計のポイント
・自社が“プレイヤー”になるのではなく、“ルールや環境”を作る
・信頼性やUX(ユーザー体験)が重要な競争要素になる
【型3】D2C型(Direct to Consumer)|ブランドと顧客の“距離”をゼロにする


中間流通を飛ばし、自社ブランドと顧客を直接つなげる。
顧客の声を即座に反映し、ブランド体験をコントロールできる。
事例
ALLBIRDS:環境配慮型スニーカーブランド。EC中心で展開
Minimal(チョコレート):製造から販売・発信まで一貫して自社で運用
再設計のポイント
・顧客との“共創”関係を築けるか
・SNSやコミュニティとの連動でブランド価値を強化
【型4】XaaS型(Everything as a Service)|モノを“サービス化”する


製品を売るのではなく、機能や成果そのものを「サービス」として提供するモデル。
事例
RICOH:コピー機を「出力した枚数に応じて課金」する利用課金型にシフト
Caterpillar(建機):稼働時間・パフォーマンスに基づくサブスク型提供
再設計のポイント
・モノの“価値”を、利用・成果ベースに再定義する
・運用・保守・データ収集との組み合わせがカギ
【型5】コミュニティ型|ファンと一緒に“育てる”ビジネス


商品やサービスを起点に、ユーザー同士のつながりを生み出すモデル。
顧客は“消費者”から“共創者”へ。
事例
無印良品:「ユーザーの声」から商品開発・改善を行う
キャンプブランドSnow Peak:ユーザー同士のイベントや交流会を積極開催
再設計のポイント
・「売ること」ではなく「共感と関係性」を重視する
・長期的なロイヤルティを基盤に、継続的な価値を創出
まとめ|最適な型を選ぶのではなく、“自社の強みと組み合わせる”


これら5つの型は、単独で使うものではなく組み合わせて活用することで真価を発揮します。
・サブスク × D2C
・プラットフォーム × コミュニティ
・XaaS × 人的資本経営(社内DX) など…
重要なのは、「時代に合った型を選ぶこと」ではなく、“自社の価値を最大化する構造”をどう設計するかです。
次回予告:人的資本時代の“組織構造とビジネスモデル”の関係性
次回は、ビジネスモデル再設計の裏側にある「人と組織」の視点にフォーカスし、“構造化する人の力”をどうビジネスに組み込むかを探っていきます。