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2025.05.24

ブランド価値はどこで勝負する?6つの価値因子と成長フェーズ別 強化戦略

なぜ、このブランドに惹かれるのか?
日常の中で無意識に選んでいる商品や、憧れを抱くブランド。

それは単なる「モノ」「サービス」ではなく、心を動かす価値が存在しているからです。
しかし、その価値は自然に生まれるものではありません。
ブランドは、成長段階に応じて意図的に価値を設計し、顧客の心をつかんでいます。

本記事では、ブランド価値を高める6つの因子と、それをどのタイミングで強化すべきかを具体的に解説します。

ブランド価値を構成する6つの因子

価値因子 内容 代表例 強化タイミング 目的
機能的価値 Functional Value 品質・性能・利便性など理性的な判断軸 ユニクロ(ヒートテック)、ダイソン 導入期〜成長期初期 選ばれる理由の確立、新規顧客獲得
情緒的価値 Emotional Value 愛着、共感、感動体験 ディズニー、コカ・コーラ 成長期後半〜成熟期 感情的絆の構築、リピート率向上
未来価値 Future Value ビジョン、サステナビリティ、革新性 テスラ、ユニリーバ 成長期後半〜衰退期前 将来性訴求、リブランディング
社会的価値 Social Value 社会的承認・ステータス ロレックス、ルイ・ヴィトン 成熟期 プレミアム市場での収益最大化
自己表現価値 Self-expressive Value ライフスタイル・自己実現の表現 Supreme、ハーレーダビッドソン 成熟期〜再活性化期 ファン共創、ブランド再生
経験価値 Experiential Value 購買・利用体験の心地よさ Apple Store、スターバックス 全フェーズ(特に成長・成熟期) 口コミ促進、LTV最大化

ブランド成長フェーズ別 強化すべき価値因子

フェーズ 優先すべき価値因子 主な目的
導入期 機能的価値・経験価値 認知拡大と試用促進
成長期初期 機能的価値・経験価値 シェア拡大・リピート獲得
成長期後半 情緒的価値・未来価値 差別化・ファンコミュニティ育成
成熟期 社会的価値・自己表現価値 プレミアム化・顧客ロイヤリティ強化
衰退期 未来価値・自己表現価値 リブランディング・ブランド再生

ケーススタディ|カルピスの例

導入期(大正時代〜昭和初期)

強化した価値因子:機能的価値

1919年の発売当初は「体に良い乳酸菌飲料」として登場。
高級贈答品や健康飲料として機能的価値をアピールし、ブランドを確立。

成長期(昭和中期)

強化した価値因子:情緒的価値・経験価値

キャッチコピー初恋の味で情緒的価値を最大化。
家庭で作る特別な飲み物という体験価値も提供し、夏の風物詩として定着。

成熟期・リブランド期(平成初期〜中期)

強化した価値因子:情緒的価値・未来価値・社会的価値

1990年、カラダにピース♪カルピス♪のキャッチコピーに刷新。
健康価値の訴求を強化し、親から子供への贈り物というイメージから、自分自身の健康管理・リフレッシュドリンクとしてターゲット層を拡大。ここでリブランドに成功。

第2成長期(令和時代)

強化している価値因子:機能的価値・未来価値・自己表現価値

健康機能を持つ「カルピス由来の乳酸菌飲料」や機能性表示食品を展開。
環境対応パッケージや低糖・低カロリー商品でサステナビリティ対応。

SNSでは「アレンジカルピス」「大人のカルピス」など、自己表現的な楽しみ方が広がり、若年層からシニアまで幅広く支持。

カルピスは単なるロングセラーブランドに留まらず、時代に合わせてブランド価値を再設計し続けている好例です。
リブランドによる「ターゲットの拡大」「価値因子の再定義」で、今まさに第2の成長期を迎えています。

これまでのカルピスは「健康」「家族」「懐かしさ」という価値を中心にしてきました。
しかし、これからは「私のカルピス体験」をどう表現・共有してもらうかが鍵となります。

SNS × アレンジ体験 × パーソナライズによる価値創造で、カルピスは新しいファン層を取り込み、さらに成長していくことでしょう。

まとめ

これからのブランド成長には、消費者が自ら楽しみ、共有し、発信する「自己表現価値」の強化が欠かせません。
カルピスはその好例であり、今まさに第2の成長期を迎えたロングライフブランドなのです。

あなたのブランドは、次の成長に向けて「どの価値因子」を強化しますか?