18歳未満の方はコチラから退場ください。
2025.06.05

バーナード理論の深掘り|「組織は生きている」ことを理解する

組織を「機械のように動かすもの」と捉えるか、それとも「人と人の関係によって成り立つ“生き物”」と考えるか。

この問いに対し、明確に後者を選んだのが、経営思想家チェスター・バーナードです。

バーナードは「命令・服従・組織の目的」といった言葉を使いつつも、その本質は人間関係の調和”と“自律的な協働にありました。

今回は、バーナード理論の中でもとくに重要な3つのテーマを深掘りし、人が自発的に動く組織づくりへの実践的ヒントを探っていきます。

組織の3要素と「協働システム」

バーナードは、組織を協働のシステムとして定義しました。
彼によれば、組織が成り立つには次の3要素が必要です。

組織の3要素 説明
共通目的 すべての構成員が納得できる「目指すべきゴール」
協働意思 一人ひとりが「この組織で一緒にやっていこう」と思う気持ち
意思疎通
(コミュニケーション)
メンバー間の信頼と情報の循環がスムーズであること

この3つの要素が整ったとき、組織は単なる「人の集まり」から、“力を発揮するチーム”へと進化します。

とくに「協働意思」は、給与や制度では買えない関係性の価値であり、労務管理上の要となります。

権限ではなく「受容される命令」が組織を動かす

バーナードの名著『経営者の役割』で有名な概念が命令受容の4条件です。

彼は、上からの命令が成立するには、受け手が納得して初めて効力を持つと説きました。

📌 命令受容の4条件

  • 命令の内容が理解できること
  • 命令が組織目的と一致していること
  • 個人の価値観と矛盾しないこと
  • 実行が可能な状況であること

つまり、どれだけ肩書や権限があっても、これらが欠ければ「命令」は無効。

この考え方は、納得と共感のない指示は意味を持たないという現代のマネジメントの本質にも通じます。

公式組織と非公式組織|“雑談”が組織を支える

バーナードはまた、組織には公式組織」と「非公式組織の両方が存在することを指摘しました。

種類 説明 現場での例
公式組織 意図的に構築された仕組み(役職・命令系統など) 組織図、規則、マニュアル
非公式組織 自然発生的にできる人間関係や文化 仲の良いチーム、ランチ仲間、雑談

バーナードは、非公式組織こそが、公式組織の潤滑油になると考えました。

上司に言えない本音、相談できる人間関係、ちょっとした笑い――
こうした非公式なつながりが、人の不安を和らげ、モチベーションを下支えしているのです。

まとめ|バーナード理論は今こそ活きる

理論要素 現場での活かし方
組織の3要素 「目的の共有」「信頼関係」「対話の機会」をつくる
命令受容の4条件 指示前に「納得・共感・実行可能性」をチェック
非公式組織の重視 雑談・相談・信頼の空気を“意図して”育てる

バーナードは「マネジメント=人間理解だと考えていました。

ルールや管理よりも、人の内面と向き合うことこそ、組織を強くする鍵だという彼の思想は、働き方が多様化した今だからこそ、改めて見直す価値があるのではないでしょうか。